しばらく心非ずの状態でいたのか、気付いた時には元親と一緒に湯船に浸かっていた。
目の前で元親が温いなと呟き、追い炊きのボタンを押すのが見えた。

「どうした、ぼーっとしちまって」
「さあどうしちゃったんだろうね?
 自分でもわかんないや」
「そうか?」

納得のいかないような顔で元親が答えると、いきなり私を自分の膝の上に座らせた。
座ればおしりに感じる元親の硬くなったモノ。
ただでさえ、裸の状態で恥ずかしいうえに、今となってはいろんなところが触れている。
そんな状態に勿論無心でいられる訳もなく、反射的に離れようとしたが元親の腕が既に腰回りまで伸びており不可能だった。

「戻ったな」

してやったりと笑った元親に私は何も言えなくなる。
戻ったのというのは表情が、ということだろうか。
だったら体制も戻してくれと目を合わせて訴えてみるが気付かないふりをしているのか、意地悪く肌に手を滑らせる。


「っ」
「どうした、一緒に風呂入ってるだけで感じてんのか?
 それにしても湯のおかげで滑りがいいな」
「この・・・鬼が、ぁん」

滑らせた手はやがてさっきまで元親のモノを受け入れていたところを弄ぶ。
風呂場というのは思っている以上に自分の声が響くようで、自分で声を抑えようとしても少し口から洩れただけではっきりと聴こえてくる。

抵抗は試みるだけ無駄で、ただ湯に波が立った。
擦るだけだって手は、奥にまで入ってくる。

「ふぅ、あっ」
「まだ足りなかったてか?」
「ゃ、も、やだ・・・」
「何がやだだ、指が感じてんのは風呂の湯じゃねえぐらいわかってるぜ。
 場所か?」
「えいせい、じょうっ、わるい」

お風呂は汚い訳ではないけれど、衛生上はよくない。
それを訴えてみると少し考えるふりをする元親。
だけど、答えはノーだと示すように憎たらしいほどの素敵な笑みを浮かべる。

「それは風呂の中ってことだろ、ならこっち座れ」

そう言った元親は私をへりに座らせる。
そして足を取り、露わになったそこをまた指で弄り始める。
私は浴槽に落ちそうにならないように壁に手を抑えるので必死だった。

「ほらただの湯じゃねえな、こりゃ」
「んっ」

濡れた指をわざわざ私の頬に付けて嘗めた。
その感触にぞわっとしてしまうが、元親が距離を縮めたことに気付いて意識は逸れる。


「落ちねえように支えてやるから、力抜け」
「・・・ぁ、あ」

元親の雄がゆっくりと奥まで入ってくる。
すると力が抜けて壁に手を押し当ててはいるが、滑ってうまく体を支えられない。
そんな私を見て元親は腰に手を回す。

「動くぜ」
「あ・・・ふぁ・・・ぅあ」

肌がぶつかり合う音と、湯が揺れる音と、浴室に響く自分の声。
そして刺激。
それらが身体中に甘い痺れとして走る。


「もとちかぁ、あ」
「いいな・・・っ」
「元親・・・もとちか、もとちかっ、あああーっ!」


元親を無意識に呼ぶ声が自分の頭の中に響きのを感じながら、絶えられない快感が身体中に与えられ、私は同時に意識を離した。


『名前』


ただどこかからか、元親が自分の名を呼んだ気がした。








  


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