元親は私をじっと見ながら濡れてしまった指を妖艶に舐めた。
その姿に目を避けたいのは山々だが、元親の目が私を捉えて離さない。

「甘えな」
「っ」
「んな顔すんな、俺としちゃ悶えてる名前も、気持ちよくなってる名前も全部可愛いんだからよ」

可愛い―、そう言われて不覚にもドキッとしてしまった。
でも元親の言う可愛いはどうせ餌としての可愛らしさだ・・・なんて自分でもよく理解はできないけれど、勝手にそう解釈して冷静さを取り戻そうとした。

「じゃあ次は俺を気持ちよくさせてもらうからな、いいな名前?」
「ぅ、うん」

頭を撫でながら元親は濡れた秘部に自身の雄を宛がう。
既に固くなったそれになぞられただけで鳥肌が立った気がした。
元親の―、手といい、それといい、何故か凄く感じてしまう。
鬼だからと言われたら納得せざるを得ないのかもしれないけれど、心の何処かで何故か納得できない。
初めて会ったような男にここまでされているのに、しかも私の命を奪うことが決まっているような。
どうしてか・・・抵抗しようという気持ちが抱かれているうちに薄まっていく。


「挿れるぜ?」
「ぁっあ、ん」

ゆっくりと入ってくるからのか、火照った体が元親を求めているのかどうかはわからないけれどもどかしく感じられた。
指で余すところなく弄られたというのに身体が足りないと疼く。


「痛くないか?」
「ん、だからもっと―っ!?」
「もっと・・・なんだ?」

勝手に動いた口が勝手に元親を求める言葉を紡ごうとした。
はっとしたのも時すでに遅し。
元親に言葉の続きを無理にでも出させるように、意地悪く笑った。


「なにも・・・」
「なくはねえんだろ?
 ほら言ってみろ、可愛くおねだりしてみろ」
「ゃっ!!」
「痛くないからもっと、つったのは誰だっけなあ?」
「ぅ、」

腰の動きを止められて、顔を近づけられて元親の吐息が耳元に掛かった。
そして耳を食まれながら催促の声を掛ける。

「名前、アンタが望むままにしてやるからな?」
「・・・優しくなんてしないでよ、バカ」

元親が優しくしてやるなんて結局は焦らす行為なだけだ。
決して好きだから、とかそんな情があってしている訳じゃない。
だいたい私は我慢しなくていいはずなのだ、どうせ人間である私がいくら乱れようが鬼である元親にとって珍しいことではないだろう。
わかってる・・・わかってた。
だけど元親の前で全てを投げ出してしまうのは、なんというか癪だった。


「素直じゃねえな、まあそこが名前らしいけどよ。
 今日はそれで許してやる、ちゃんと声だしな」
「ん」


元親がもう一度中で私が感じやすいところを突く。
言うとおりにしてるつもりはないのに口から洩れる嬌声。


「ひゃっ、あ、ああ」
「いい子だ」
「いいこなんか、じゃ」
「素直になれって・・・もうんな締め付けやがって」
「ゃ、ああああ」
「名前っ・・・く」


達するのと同時に元親の雄から出た精液がお腹や胸や腿に飛び散った。
白濁の液が体中にかかっているというのに私の意識は呆然としており、気付いた時には元親が私の体を抱いて浴槽へ運んで行っていた。





  


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