夜になって夕飯を食べ終わり、お風呂に入って、ちょっとだけテレビでも見たらすぐに寝てやろう。
そんな決心をしてテレビを見始めた。
元親がお風呂に入っている間は大丈夫だからとゆっくりドラマを見ていた。
偶然に映ったドラマは恋愛もので、胸が苦しくなる・・・なんて言う主人公に溜息が出た。

私の周りにいる異性といえば、その一に同僚。
顔は綺麗だけど、性格が面倒。
私の初めてを奪っていった奴でもあるけど恋愛には発展してないし、発展しなくてもいいかなとも思ってる。
そして、その二に元親。
どうせ餌としか見られてないので恋愛に発展するわけがない。
まあ正直顔とか性格とかは結構タイプではあるから、きっと普通に出会っていたら好きになるかもしれない・・・。

他は特にいない。
仕事場は年配の人が多いし、一人暮らししている訳だ、あんまり知っているところではないが故に特別関わりのある異性はいない。


『だーめ、俺のすることを邪魔しないで』
『で、でもっ』
『そんな君も可愛くて好きだけどね。
 でももっと苛めたくなっちゃうよ、だからほら恥ずかしがらないで君にベタ惚れの男の顔見といて』

自分の異性との関係とテレビに映る濡れ場に溜息が出る。
それなりの時間だから別に濡れ場が駄目だとか思っている訳ではないけれど、こんな風に抱かれてみたいとか思っている訳ではないけれど・・・。
こんな風に優しく甘い言葉を―・・・とかじゃなくて!

「でもやっぱりなあ、女の子としては憧れないことはないんだよな」

「へえ、アンタでもこんな風に言ってほしいのかー?」


不意にだった。
私が頬杖をしながら頷いていたらすぐ傍で声が聞こえた。

「元親、そんな風に背後を狙うなんて卑怯だ!!」
「え、は?」
「べ、別に私こんな風に言ってほしくなんかないし、ヒロインの子みたいに甘い言葉を言ってほしいとか思ってなんかないんだからっ・・・勘違いしないで」
「おーい、ツンデレの口調になってんぞ・・・まあいい。
 アンタが望むならな?」

呆れながら元親は私の肩を掴む。
その瞬間私は負けた。

ゆっくり寝たかったのに、この時点で絶対元親は離してくれない。
しまったと考えてるが抵抗すれば嫌なことがあるに違いない。


「今夜は優しくしてやるって約束だ、ほら行こうぜ」

元親に体を抱き上げられてベッドへ連行される。
私がこんな風に抱かれるだけならと、開き直れるのはきっと恋人でもないのに私を抱いたという同僚の存在のおかげだろう。

だけど私は誰が好きなのか、わからない。
それが少し寂しく思えた。





  


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