07
お館様の頼みというのは私しかできないこと。
家臣の中でも私しかできないこと。
それは、女装だった。
私はまあもともと女な訳だから、お館様の家臣の方々からも女顔と言われている訳だ。
それはまあ仕方ない。
でも、今となって女の姿をするのは恥ずかしい気もする。
お館様の北の御方からは女としての作法とか、そういうものをご教授した。
でも、である。
それとこれとは話が別だ!!
「お館様、これはまた話が違います!」
「そうはいっても、なあ?」
「これでは女とばれてしまいます、ただでさえ女顔だと言われてるのに・・・」
「そう言われているのであれば安心ではないか。
誰もそなたを女子とは思わん」
「えー、本気でございますか?」
「ああ、ちょっと女装して外を出るだけだ。
・・・そなた、もとは女ではないか」
「うっ、」
そこを突かれると少し痛い。
それで、結局断ることもできず、私は女装させられた。
綺麗な着物に、髪まで結われて・・・。
これじゃあ完全に女だ!
そいうことで、せっかくなので簪も付けさせてもらった。
「そなた意外に似合うものだな」
「・・・・・・そうでござますか・・・・・・・・・」
「いや、こちらのほうがいいかもな。
綺麗だぞ」
「かのようなことは他の女子に言ってくださりませ。
私は嬉しくもなんともございませんから・・・」
お館様に笑われて、見送られるまま私は城の外へ出て行った。
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