06

「理にしか頼めない、頼まれてくれるか?」
「仰せのままにするつもりでございまする」



今日もいつもと変わらず、お館様の為にと勤めている。
私は父が数年前にこの世を去り、本山の軍師に正式になった。
嬉しいことだが、簪を付ける日は遠のいた気がする。



私が男に化けている理由。

それは、簡単な話。
名を残すためだった。




私の家系は先代から本山に従ってきた。
父は軍師としてお館様の為に勤めていた。

それで、父は父の子、つまり私の代から本山の軍師を出そうとしていた。
しかし、母は私を生んですぐにこの世を去った。
父は他の女性を進められたが婚姻を結ぼうとはせず、結果父の子は私だけになった。

だから、お館様と父が話し合った結果として私が継ぐことになった。
しかし、継ぐと言っても私が女では問題がある。
世継ぎは普通男だ。
・・・もちろん、大名のもとで軍師として勤めるのも。

だから、私は周りに女とばれぬよう、男として育った。
今となっては、私が女と知る人はお館様、お館様の正室の方、一部の女中さんしか知らない。


そして、弥三郎。

本当はもっといたけれど、時が経つにつれて減った。
そして、弥三郎にいたっては今もこの世にいるのか確信は無い。
・・・なんとも悲しいことだ。


悲しくても私が本山にできることは限られているから頑張らなければならないんだ。




覚悟はもうとっくに決めている。

  


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