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「終わりました」
そう言われて解放された私。
女中さん何人かに何されたのかというと・・・
よくわからない。
服脱がされて着替えさせられた気がするが、見えないので状況は詳しくわからない。
だけど、脱がされたということで体を見られていたというのはわかる。
もうお嫁に行けない。
まあ行くつもりもなかったんだけどさ。
「こちらへどうぞ」
手を引かれて連れて行かれたのは・・・
たぶん距離的に元親の部屋だった。
「元親がいるのか?」
「おう、よくわかったな!」
「まあ散々通った訳だからな」
「そうか、まあ座れよ」
今度は元親に手を引かれ座らせられた。
何か座った時に服に違和感が出た。
何か足がスースーしてる気がする。
「元親、俺変な格好してるか?」
「してねえぞ、まあ格好は秘密だけどなまだ」
「いつまで目隠しされるんだ?」
「そうだなー・・・半刻くれえかな?」
そんなにか。
何かもう軽く落ち込めるぞ。
「それで俺はこの状態でどうすればいいんだ?」
「時間もあるしたまには何もせずに過ごすのもいいだろ」
「そうだな、元親とこうやっているのは久々だしな。
城主が城も国もほったらかしにしてたしな」
「それは別だ!!」
「・・・別にいいんだけどさ。
元親、俺さ今複雑なんだよ」
「何がだ?」
少し息をついて、元親がいるであろう方向を向いた。
「もう全て終わったろ?
元親が今でもこうやって俺といてくれることに嬉しく思うんだ。
好きだと思うんだ、でもどうすればいいかわからない」
「どうって愛し合ってる男女がすることなんて決まったもんだろ」
「ちょっと重い話をしてもいいか?」
「・・・ああ」
こうやって久々に話すというのに私は重い話をしようとしてる。
明るい話だけできたらいいと思ってるのに私は未だに成長できてない。
元親は私に気遣ってか、距離を縮めた。
「両親が死んでからお館様が俺の全てだった。
言わばお館様が親だと言っても過言ではなかったんだ。
親の仇と言うつもりはないんだが・・・本当だ、元親を仇だと思っては無い」
「ああ、わかってる」
「本山に謝りたい、でも謝れない。
怖いんだ」
「女ってばれることか?」
「ああ、笑うか?
やっぱり俺は未だに臆病ものなんだ・・・・・・」
「俺は笑わねえよ、安心しな」
「謝りたいのも元親のことじゃなくてきっと自分のことだとも思ってるんだけどな。
頭で理解してるのに未だに気持ちの整理もできてないんだ」
謝りたいのに謝れない。
会いたいのに会えない。
「元親もこんな俺嫌だよな。
悪い、久々に話してこんな話でーっ・・・」
瞬間に体がぐらりと揺れた。
体制は崩れたけど痛みは何もなかった。
「だから、俺を頼れって!
俺が嫌なお前なんていてたまるかってんだ!!」
「元親・・・」
「怖いんだよな、でも謝りたいんだよな?」
「・・・うん」
「怖がらないように俺がついておいてやるから、俺がいるから安心しろ」
「でも会う勇気がない」
「会わせてやる、勇気なんて会ってからでいいんだ。
神経質になるなよ、俺がいるんだから」
元親が私を抱きしめた腕の力を込めた。
腕の力が強いくせに嫌じゃなかった。
「元親、いつか本山に会えることがあれば俺の傍にいてくれるか?」
「あたりめえよ」
目隠しして顔は見えないはずなのに・・・
元親の笑顔が瞼の裏に浮かんだ気がした。
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