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結果的に元親は天下は取れなかった。
友人であった家康殿に譲った。

本当のところ、徳川に対抗する力が無かったと言っても世間には通じるかもしれない。
でも、そんなことどうだっていい。

今では多くの日ノ本の民が笑っている。

それは勿論この元親が治めてる四国でもだ。



でも、だからと言って全員が笑っていられてる訳ではない。

統治した本人の家康殿は表向きに笑っていると言っても悔やんでいた。
対峙した石田三成との関係を未だに悔やんでいた。

元親としてはどうにかしてやりたいと思っているらしく、つい最近土佐を出た。


いいことだと思うけれど、相変わらず変わった城主だ。

私だってまあ・・・家康殿も心配だけど。
元親だって土佐にいとけと言う話だってある。



『アニキとは最近どうなんだよ!』

何気ない一言が軽くグサッとくるんだからさ。
その度に、私としては元親なんか何処にいるかも知らないとしか答えようもなく。
いつの間にか酒に明け暮れてる日だってある。
それは元親には内緒にしなきゃならないけど。

決して家康殿にやきもちを焼いている訳ではないけれど。
少し寂しく思ってもいなくもないから・・・。

好きだと言っておきながら私を放ってどっかに行っちゃうんだから。
ま、まあ、今も好きなのかっていうのは知らないけどさ・・・。


ということでいじけ始めた今日この頃。
戦も治まり、することもなくなったので今では女中さんたちの手伝いとかをしているけど。

それでも、元親が帰ってこないので男装のまま。
浮きまくっていた。

早く元親帰ってこないかなとさんざんに待って、待って、待って・・・

やっと帰って来た。



・・・・・・家康殿を連れて。
まさかのまさかだよ。

いやいや、別に嫌な訳じゃないんですよ。
だって、味方だった訳だし。

でも、さすがにでもだ。


「元親の馬鹿野郎おおおおおおおおおおおおお」

『理っ!!?』


もうちょい乙女心をわけれってんだ、馬鹿。


「どうしたんだ、孫八っ?」
「もういい、そんなに家康殿がいいなら二人で祝言でも何でもあげればいいだろ。
 元親の馬鹿あ」
「お、おいっ」


一方的に怒鳴ってるのは自覚してるから。
頭を冷やそうと外に出た。





  


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