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「じゃあな私を嫁にする覚悟があるなら私を笑わせておく覚悟もつけてくれ」
「何だよそれ。
でもな、必ず幸せにしてやる」
この戦乱の世で幸せにしてやるだなんて言った大名はどれほどいるだろう。
きっとそんなのんきに言ってられるのは元親ぐらいだ。
または・・・そうだね、楽観的な感じの人だと思う。
「元親が元親らしくいてくれたら私はもう何もいらないよ」
「そうか、ありがとな」
「・・・・・・まあ約束は守ってもらうがな」
そこんとこは相変わらずだな、と言って元親は笑い出した。
そっちこそ相変わらず失礼な奴だ。
でも、何だかんだで好きかと聞かれたら私は好きだと答えてしまうんだと思う。
「元親・・・何か悪いな」
「はあ?いきなり何謝ってんだ」
「なんとなく、何か元親の前で素直になったら恥ずかしくなってきた」
これが所謂・・・何だ?
所謂とか言ってみたもののわからない。
「まあ慣れろや」
「頑張る、とりあえず恥ずかしくならないほどに元親使うから頑張れる」
「喜んでいいのか、なあ!それ喜ぶべきなのか!?なあ、理!!!」
『落ち着いてくだせー、アニキー』
「ほんと面白いな、ははっ」
焦りだした元親に慌てだす一領具足。
そんな環境が当たり前だと思うようになった私の変化も面白いものだ。
長曾我部軍・・・。
私にはやっぱり代えられない大切なものだよ。
「俺だってな、最後までやることきっちりやらせてもらうからな!」
「おう、孫八。頼んだぜ」
『おおおおおおおおおおおおおお、アニキイイイイイイイイイイイ』
「あ、だからここまでばらしたんだから全部終わるまで理って呼ぶなよ」
『えええっ!!?』
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