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「元親、何が決まりだ!?」
「理、恋については俺がじっくり教えてやる」
「別に接吻とかそういうので苦しくなるのはー・・・」
「ならお前は好きでもねえ男と何したって素直に可愛い反応すんのかよ?」
何だかだんだん元親の気分が上がっていってるみたいだ。
先程からの顔のニヤニヤは止まらない。
「私は別に女子のように可愛らしい反応をした覚えなんてない」
「何言ってんだか、お前可愛いんだぜ」
「だから・・・もう、いい」
結局何を言っても今の元親には敵わない。
「ただし条件がある」
「何だ?」
「俺のすべきことがあるならそれが全て終わってからだ。
まあその時にお前がまだ私に今の感情を持っているかはわからないけどな」
「約束だ」
私がこんなこと言うのにどれだけ胸の鼓動が早くなっているか。
元親にはわからないんだろうな。
それが正直悔しい。
「元親、別に無理はしなくていいからな」
「馬鹿野郎、何年越しだと思ってんだよ」
「え?」
「とにかく見てろ、お前のやるべきことはさっさと終わらせてやる。
そんで鬼の嫁にしてやるぜっ」
「ああ、頑張ってくれ」
関係するのは元親の頑張りだ。
私たちの願いは日ノ本の民が笑っていられたら良いということだ。
きっと戦を失くすより大変だ。
もしかしたら、天下が獲れてもそれは難しいことかもしれない。
でも、今はまず目の前のことで精いっぱいだ。
「お前をずっと笑わせる方が難しいな」
そう言って笑う元親にもう何も言えなくなった私だった。
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