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「元親・・・弥三郎捨てるだなんて言ってごめん。
 今更ながら撤回してもいいか?」
「そうしてくれ、俺が泣いちまう」
「そうか、でもな冷静に考えてくれ。
 私が元親に恋して周りにばれたらどうなるか」

今の時点では元親と私の衆道だ。
でも、女とばれたら軍師でいられなくなる。
本山もこの長曾我部も騙してきたことになる。
女にこき使われてたと知ったら誰も黙ってはいないだろう。
元親に至っては別と言う結果を残しているけれども。


「野郎共がそんなこと気にするような奴らに見えるか?」
「いや・・・それでも不安なんだよ。
 ああ、あの人たちはいい人たちだ。
 それでもいつだって本当は女ってばれるんじゃないかって不安なんだ」
「女だろうが男だろうが理は理だろうが」
「それとこれとは別だ」
「それならいっそばらしてみねえか?」
「何言ってんだ!?」

全然苦にもならない表情で元親はそう言った。
確かに他人事になるかもしれないけどそれはひどくないか?

「大丈夫だ、俺を信じろ。
 もし野郎共でお前に苦になること言った奴がいりゃあ、俺がそいつを斬ってやる」
「元親、何言ってる、長曾我部軍の、お前の大事なー・・・」
「それだけ俺はあいつらを信頼してんだ。
 お前にひどいことなんか言わせねえ」
「そうだな」

何故かすっかり納得してしまった。
たとえ誰か何かを言っても元親は今までと変わらず接してくれるだろう。

「わかった、言ってもいいか?混乱を招きそうな気もするんだが」
「安心しろ」
「・・・あとできたら、元親に傍にいてほしい」
「ああ、俺はお前が望むならいつだって傍にいてやるよ」
「ありがと、俺はお前にまた会えて良かった」

心のもやもやの一つが何処かへ飛んで行った錯覚を覚えた。
これで後は無事に事が終わればいいと願うしかなかった。




  


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