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何処ぞの姫様が到着し、元親と姫様がご対面と言うことで私たち部下も一応顔だけ出した。
でも、あとはよくある「まあまあ後はお若い者同士で・・・」という成り行きで二人きりになってしまった。
覗くのも野暮だと判断した長曾我部軍兵士たちはただ部屋に籠ったり、自分の家に帰ったりと好きに過ごしていた。
私はと言うと元親の好感度を上げてやるために部屋を綺麗にしたり、花を生けたりしていた。


「これで決まったら長曾我部家は安泰なんだけどな・・・」

そうは思うも元親だ。
もしかしたら自分から婚約はしないとか言いそうだ。
何気に22歳。
もう婚約どころか子を産ませたっていい年だ。
そりゃ家臣には心配されるわ。
まあでもきっとその心配ももう終わる。
大丈夫だろう・・・。



部屋の準備も終り、部屋を出たところで元親と出会いがしらになった。

「おう、元親。頑張ってるみたいじゃねえか」
「は?俺あの姫さんと祝言を上げるつもりは皆無だぞ」
「んなこと言うな、家臣一同で泣きつかれるぞ・・・。
 それで、どういうつもりだ?」 
「どうしても俺はまだ駄目だ、絶対に。・・・理由は詳しくは言えねえけど、長曾我部に関わることだからな」
「なら、いいのか、こんな風にしてて」
「そこでだ」


私を見ていい案が思いついたというように元親は笑った。
一瞬寒気がしたのは気のせいだろうか。


「長曾我部の為に頼みがある」
「・・・?」


元親が耳打ちしたのは、間違いなく私の命を数年縮ませるものだった。
ふざけてるんだよな、なあ、ふざけてるんだよなあ?
そう信じて元親を見るもふざけてる様子は一切なかった。
こりゃやるしかねえのか?


もう泣かないと決めたのに・・・違う意味で泣きそうになってしまう私だった。




「じゃあ今からでも頼む、俺の部屋で待ってろ」


不敵に笑った元親は・・・もう私の敵だ。
そんなこともオチオチ言っておられず、私はただ元親の指示に従ってやるだけだった。





  


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