01
そいつとの出会いは突然にやってきた。
今から十年以上前になること。
私は奴に出会った。
「おい、何をしてるんだ!」
いつものように父に使いを頼まれた日の帰り道。
海に足を入れている女子を見つけた。
海に足を入れると言っても、2月・・・季節はまだまだ冬だ。
雪だってちらほら降っている。
ふと、頭の中に”死”の一文字が浮かんだ。
私はとっさにその女子の腕を掴み、浜辺に体を押し倒した。
「何を考えているんだ!」
「・・・・・・」
叫んだと言っても、その女子は罰の悪そうに目を逸らすだけだった。
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