26

「じゃあ指切りだ」

そう言って小指を私の前に出した。
でも、私は指切りはする気は無い。


「元親・・・指切りは駄目だ、個人的にする気にはなれない」
「何でだ?」
「理由は、まあ、いずれわかんじゃねえかな。
 まあ元親への忠誠心が約束ってことでいいじゃねえか」
「そうか・・・、忠誠心か」

ついこの間まで敵同士で今では仇となったのに忠誠心とは我ながら笑える。
それでも、実際にあるのはあるものだから先程とは違う意味で笑えてしまう。

「悪いな、こんな部下で」
「何言ってんだ、俺が長曾我部に来てくれって言ったんだろうが」
「そういやそうだったな、俺をお館様から離したのがお前だな」


そんなに時間は経っていないというのにいつしか私の中では長曾我部の人間だという自覚が深く刻まれてきている。
本山の人間だったというのが遠い日のようだ。
私の中でお館様への想いはそれほどまでだったのか・・・、それとも元親への想いが強すぎるのか。
そんなことは一切わかりはしない。


「理・・・勝手にどこかへ行ったりなんかするなよ」
「はあ?急に何言ってんだ、俺は元親の所からいなくなったて行き場所がないだろ・・・本山だってまだ帰れない」
「そうか・・・個人的にどうってんなら指切りはしなくていい。
 だが、それだけは守れ、俺の前からいなくなるな」
「はいはい、俺がいなくなったてどうせお前は困ることないだろうがな。
 まあ俺がここから消えるとすればすべきことが終わってからか女とばれてしまってからだな」
「おいおい、別にそんなことでいなくならなくたっていんじゃねえか?」
「駄目だ」

頑なに意地を張る私に元親が笑った。


こんな元親を見ていたら何処にも行きたくなくなる私いるのも事実だ。
こんな忠誠ならいらなかったのに。
いつの間にかしっかりと根付いてる。



「だから俺がまだ此処に残れるようにしてくれ」




私は今おかしいんだろうか・・・?




  


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