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「理・・・とりあえずそれは俺のいいように受け取っても構わないんだよな?」
「まあ悪いように取られないと嬉しい」

いいようにならわかるけど、悪いように取るってどういうのかは私にはわからない。
それでも、今のところちゃんと伝わってるみたいだから安心はする。

「冗談って言ってももう聞かねえからな?」
「冗談で言ってつもりはねえよ、俺は元親の人間性とか尊敬してんだから」
「・・・え?」
「それにこの国はいつも活気が溢れてて信頼できるし、俺は此処の人の笑顔を精一杯守りたいと思った」
「・・・・・・あれ、俺が勘違いしてるか?」

少し赤い顔の元親。
何を勘違いしてるんだ・・・?
というか、勘違いできる要素なんてなかったように思えるんだが。

「理、全てが終わったら俺の子を産んでくれねえか?」
「はあ!!?
 お前はいきなり何言ってんだ、破廉恥極まりないっ。
 そんなに溜まってるなら早く結婚しろよ、ったく・・・」
「うっ、そこまで言わなくてもいいだろ。
 ・・・結局俺の勘違いなんじゃねえか」
「勘違いって何だよ?」
「あれだ、お前が俺のこと好きだっていうから男女間のことかと・・・」

つまり私が恋心でも持ったと勘違いしたってことか?

「くくっ」

一気に噴き出してしまった。
まず要素も何もないと思う。
確かに元親ぐらいなら一目ぼれ〜、みたいなこともあるかもしれないけどそれは一般的な女子だ。
男の身なりしてる私がしたらもう同性愛と取られて笑い物になってしまうだろう。

「そんなに笑うなよ、俺としても傷つくだろうが」
「何で傷つくんだよ? 
 だいたい元親なら美人な嫁さんだって貰えるだろうが」
「孫八を理に変えることができたなら嫁に来るか?」

何かと私を嫁にやら妾にやらしようとする元親。
真意はわからない。
でも、冗談だと言われても納得はできる。


「その時でも元親が俺を望むのならば、俺は元親に何処まででも付いてく。
 それが俺が此処に来た意味だ」
「その言葉忘れんじゃねえぞ?」
「ああ」

その口約束がどんなに重いものでも弥三郎との約束が私の中にある限り、一番にはならない。
きっそそのことがわかってて私は肯いたんだと思う。

そうじゃなきゃ今までの私が崩壊してしまう。
崩壊するなら命さえ捨てるかもしれない。

だから、ある意味私は軽い女なのかもしれないんだ。



  


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