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「悪いな、少し今動揺してる・・・」
「大丈夫か?」
そう言って私を覗き込む元親さえもが弥三郎の姿に被る。
「お、おい!?」
「へ?」
元親が私を見て驚いた、そう思ったら頬に何か感じた。
あ、あれ・・・?
「泣いてた?」
「自覚ねぇのか?
・・・俺にさせる話じゃなかったか?」
「いや、そういう訳じゃないんだ」
「・・・・・・そいつに会いたいか?」
「会えるなら会いたい。
でも、正直今の俺を見てほしくなかったりもする。
何しろ、自殺を止めておいて私は軍師だ。
あいつが嫌いな戦だってする・・・」
「そんな暗い方ばっかに考えんなよ?」
元親が私をそっと抱きしめた。
とっさのことで何もできなくなった私はされるがままになっている。
「元親・・・?」
「理、今ぐらい泣きゃいい。
俺しかいないから。
俺の胸なら貸してやる」
「元親・・・・・・悪いな。
ちょっと貸してくれ」
そう呟いたとたんに元親の腕の力は強くなった。
「ひっく、・・・悪い、軍師のくせに何もできない上に女みたいに胸まで借りて、ほんと情けないな・・・・・・」
「無理すんなよ」
元親が頭を撫でてくれて、それがまた温かくて。
何だか心も癒されて。
「理、俺がお前の悲しみ受け止めてやるから」
「元親・・・」
元親は目の前にいるというのに涙で遠く見えた。
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