12

遂に、長曾我部との戦の火が切って落とされた。




あれから、私はただ民を巻き込まず、相手の降伏を差し向けるための策を考えてきた。
そして、考えたのが私が大将である、長曾我部元親のところへ行って話をするというところだ。


正直私は生きて帰ってこれるのかはわからない。
というか、私自身大誤算があった。

長曾我部元親、
私が聞いた話ではひ弱で家臣から姫若子と渾名され、次期当主が務まるのか不安だという。

でも、この前会った長曾我部元親・・・。

どこがひ弱だ!!
どこが姫だ!!
長曾我部家、何を姫と言っているんだ!!

今よりずっと策を楽に考えていた過去の自分を殴りたいほどだ。

でも、そうは言っても、向こうの大将は初陣らしい。
なら、私だって有利なところはあるはずだと信じたい。





法螺貝の音を聴き、私は一人大将のいる陣営に向かって走った。



息を切らせながらも着くと、そこには数人いた。
とても一対一で話せる状況などではない。

しかも、よく見ると大将はいない。
何を考えてるんだ!
前線で戦っているのが見えた・・・・・・。

ええ!?
大将のくせに?

あの人が周りから見れば変わっているとは思ってたし、わかってた。
それでも、戦においては変わっていれば致命的だ。
どうする気だ?


しばらく様子を見てみるが、息を切らす様子もなく、押されることもない。
ただ一人でこちらを押していた。


私はこのままではいけないと、自軍を退却させるために戻った。

既に時は遅し。
何人かが犠牲にもなった。

全て、私のせいだ。
私のせいで、私を信じてくれた人まで失った。




その夜、お館様と二人で話をした。

「理、もうわかったな、お前の甘さが」
「・・・はい」
「儂はそなたの素直さ、そういうところも評価しておる。
 だが、今回は向こうも仇討としてやってくる。
 そなたの長所が錆として出る、儂としても残念だが、もう既に犠牲は出た。
 これからすべきことはわかっておるな?」
「・・・わかっております。
 お館様に勝利を導くための策を考えます、
 申し訳ございません・・・・・・」

自分の失敗が改めて自分を襲う。
後悔、悲壮・・・全てが一斉に降りかかってくる。

「おやかたさ、ま・・・申し訳ございませんっ」
「もうよい・・・
 儂はそなたを責めている訳ではない、な?」

お館様は私の頭を撫でて優しく笑った。

「今日はゆっくり休め、よいな?
 心配せずともこの戦は続く・・・幸か不幸かわからぬが」
「御意・・・」



犠牲を出さぬ策を考えだすため、私は一人城へと帰った。

  


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