気付いてくれない想い人

誰もいないはずの下校時刻寸前の教室。
忘れ物を取りに来た私は何故か同じクラスの伊達君の告白を受けていた。



『好きだ』



数秒前にはそんな言葉を聞いたはずなんだけど・・・聞いたはずなんだけどね。
伊達君の顔はいつも通りだし私の聞き間違いなのかな?
きっと好きだは席駄みたいなのと間違ったんだろう。
席駄ってあれだよね、千利休の創意でできた・・・。
何でいきなり言われたのかは知らないけど何も答えないのは失礼だし。


「千利休って凄いよね」
「何で返事の第一声がそうなる!?」


ひどく驚いた顔が見えたなと思えば後ろからドアが開く音が聴こえた。



「やっぱり旦那にはまだ早いよー、ねぇ右目の旦那?」
「あまりそう言うことを言うな」


振り返って見てみれば佐助と片倉先生。
佐助はそうか・・そういや今日一緒に帰ろうとか言ってたね、うん。
教室待ち合わせって言ってたのすっかり忘れてた、忘れ物してて良かった。

「佐助私・・・べ、別に一緒に帰る約束忘れてなんてなかったよ!!」
「はいはい、どうせ忘れてたんだろうね」
「おい猿!なんでアンタが名字と帰る約束なんかしてんだよ!!」

疑問に思った伊達君が焦ったように質問してるんだろうけど。
佐助はにやにや笑ってるけど普通に答えた。


「何でって、俺様この子の世話を真田の旦那同様預かってる身だからね〜。
 どういうつもりで名前ちゃんに近づいたのかは知らないけどただでは渡せないね」
「なっ・・・。
 じゃあこの鈍さはアンタがか」


何か私のこと勝手に鈍い扱いしてる伊達君だけど。
私のこと?・・・私のことだよね!?
でも今あの二人の会話の中に入る勇気はないし。



「先生・・・私そんなに鈍いんですかね?」
「そんなこといちいち気にするな。
 素直でいいってことだ、俺は少なくともお前のそういうとこ嫌いじゃないぞ」
「先生・・・っ!
 私を嫁に・・・何もないです」


つい男前な先生に勢いで変なことを言ってしまいそうになり、急いで口を閉じた。
それにしても未だに佐助と伊達君の争いは続いてる。




「だから!あの子は渡せないね!!」
「意地でも奪ってやる!」
「告白しても告白だって気付かれなかったくせに」
「違う、席駄と間違えただけだ!」
「好きだを席駄と間違えるなんてあの子にとっては当たり前だよ!」




ねえ、佐助が何気にひどいんだけど。
そして伊達君結局私に告白してたってことなの?
席駄の話がちがうんだったら違うって言ってくれたらよかったのに。




「もう私が悪かったよ!
 ごめんなさい!これでいいの!?
 私もう帰る!!」
『ちょっ、待っ』



二人の声が聞こえてももう知らない。
私は戸惑ってる先生の手を引いて教室を出ようとした。


そうしたら止まってしまった先生。
どうしたんだろうと不思議に思って先生を見たところ。




「卒業したら嫁に来るか?」


私の一つの返事で三人の顔は様々に変わるんだるんだろう。
そう思うと申し訳なさもひそかな楽しみな気持ちもあったけど。



「私はそうだね・・・一番ときめかせてくれる人を最後には選ぶよ」



佐助のいつもの女の子の告白を断る言葉で返してみたけれど。
三人の目が光ったのはきっと気のせいだろう。
それでも去り際に三人がそれぞれがニヤリと笑った顔が見えて全力で走った。


本命の彼が気付いてくれるのはもっと先なんだろう。
気付いた時には精一杯言われたように鈍いねと言ってやろう。
そんな未来を考えてみると自然に笑みがこぼれた。






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本命はあなた次第です☆
みたいな感じです
こじゅが大人のくせに結局大人げなくなってしまいましたが・・・;
らぶ様楽しんでいただけたら幸いです、りくありがとうございました!!
気に入りませんでしたら変えろの一言で書き直しますです















  


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