あなただけだということを
俺の幼馴染は凄く鈍感だった。
別にイラつくぐらいにどんくさい、とかそういう訳ではない。
ただ自分の色恋ごとに関して本当にこいつは女子なのかというほど興味も持たないし、敏感にもならない。
そんな彼女はいつしか男同士の恋愛に興味を持ち、色恋ごとに関しては傍観者だけの立場になりつつあろうとしていた。
そんな彼女を好いている俺も我慢の限界が訪れようとしていた。
「旦那、そんな眉間に皺寄せてどうしたのさ?」
昼飯を食べていると聞き覚えのある声が耳に入った。
振り返って見れば案の定佐助だ。
「おう、佐助か。
いや名前の誕生日は今日だっただろう、今年こそ決着を付けようかと」
「そっかそっか、旦那も成長してんだね。俺様嬉しい」
「そうか・・・」
まあ佐助に喜ばれても仕方ないんだが。
そんなことを言っている時間さえも無駄だと思えるのでもう直球でしかないなと思い、名前の元へ行った。
ちょうど昼飯を食べている途中で名前の友人と盛り上がっているところだった。
そんな彼女を呼び出すのはなんだか申し訳なく今日中に言えたらそれでいいと判断し、その場を去った。
そして、やってきた放課後。
一緒に帰ろうと声を掛けようとすれば、向こうから一緒に帰ろうと言いだしさっそく帰ることになった。
「今日は久々に幸村と帰るな〜」
「それは仕方あるまい、俺は政宗殿と帰ることが多いし名前だって友人と帰るしな」
「お互い成長したってことだね・・・というか、相変わらず伊達君と仲良いね。
できてんの?」
できてる、と言ったら喜ぶんだろうか。
このやるせなさは本当にどこから来ているんだろうな、たまに不思議になってくる。
「できてはおらぬ。
俺だって昔から想い人はいる」
「へー、男?女?」
「だから何故俺を男とくっつけようとするんだ・・・。
女だ」
「そっか・・・」
一瞬名前が悲しそうに笑ったのが見えた。
そっか、と呟いているが何かあったんだろうか。
「どうした?」
「やっぱり以外にもはっきり言われちゃうと傷つくもんなんだね、そういうこと」
「何が?」
「幸村にも好きな女の子がいるってこと」
「っ!?」
名前にもこんな台詞が言えたのか。
というか、これは俺が喜んでもいい方の意味なのか・・・。
「なあ」
「幸村は可愛いからねー、伊達君の方にも佐助の方にも行ってくれないのは残念だけどさ、私は応援するから頑張って。
幸村なら誰だってお嫁さんに貰いたいぐらいだもん、私だって貰いたかったなー・・・なんて」
これは完全に喜んではいけない方だったようだ。
好いた女にここまで言われて何も言わない男はもう男として失格だろう。
「名前・・・」
「な、何よ」
「俺が好きなのはお前だ」
「え、あ、な、何言ってー」
混乱し、赤くなったままの彼女に軽く口付けを落とした。
返事は、と催促するものの未だ頭がちゃんと働いていないらしい。
「でも幸村には」
「俺がお前以外選ぶと思うか?」
幼馴染で腐女子で自分の色恋ごとに何の興味もない、俺が唯一好いた彼女に甘い現実を見せてやろう。
それでこちらに来なければ、もう何をしてもいいだろう。
お前が俺を選べば何の問題もないのだからな。
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はい、幸村さんでした
幸村好きな腐女子な友人の誕生日なので書いてみました笑
この幸村が白くはないので灰色ぐらいなのかな・・・?
それはともかく誕生日おめでとう!勝手にしてるのは内緒だけどね
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