私と二人の鬼

奥州の青鬼さんこと伊達政宗と西海の鬼こと長曾我部元親・・・。
二人が並んだら私にはやっかいごとしか起こらない。
そんなことはお決まり事だった。


「アンタいい加減に俺のところに来いよ」
「おい、竜の兄さんよそれはちぃっとばかしいただけねえな」

私は奥州と四国のちょうど真ん中あたりにある美濃の茶屋で働いている。
そして、何故か今目の前にはとある二国の領主が目の前にいる。
ちなみにこんなことが起こるのはちょくちょくある。

帰ってほしいのは山々だけど、相手が相手の為に追い返せもしない。
しかも、店の主人はそれを良く思っているのか温かい目で見つめている。

そんな訳で私の味方は皆無だ、ちくしょう!


「御二方・・・もう帰られてはいかがですか。
 喧嘩をしているところなど誰も見たくはありません、その上御二方は領主と言う身分。
 そんなことをしているのを見られては敵国に見られては不都合がありませぬか」
『名前・・・・・・』

まともなことを言えたおかげか二人は黙った。
そのまま帰ってくれ・・・そう願ったけどうまくいくことはなかった。

「Ha! さすが俺の未来のwifeだ」
「あ”?黙りやがれ、っていうかアンタがさっさと帰りやがれっ」
「何だと?」
「じゃあ名前がどっちが出て行くべきかを決めりゃいい」

ええー・・・まさかの他人への責任転嫁。
というか、私個人的にはどっちも迷惑になる限りは出て行って欲しいんですけどー。

後ろからお客様の視線がささる。
横からも主人の視線がささる。

そりゃ黙っていれば・・・黙ってなくてもこの二人は格好いい。
遊郭なんて言ってしまえば寝れなくなるだろう。

まあ何でこんなに私を巡るのかは全くわからないけど。
今となってはもうどうでもいい。


「私は・・・御二方が一応大好きですよ。
 でも、どちらかを選ぶとなれば」
『なれば?』
「きっとどちらも選ぶことはないでしょうね」
『っ・・・』

言い過ぎでもないと思うが二人は何も言わない。
顔を伏せてしまったので表情もわからない。


「・・・はは、はははっ」
「はっはっは」

しばらくして笑い声が響いた。
笑っているのは二人。

いろいろ考えて結局遊んでたんだという結論に出て納得してー・・・

「ならこの西海の鬼がアンタに選ばれるように惚れさせてやるっ、ついて来い」
「店主、こいつは借りるぜっ」

そう言って長曾我部殿は私を持ち上げた。
おい、どういう意味だ・・・。


「ちょっ、離してくださいっ」
「ちっと黙れねえか」

そうして私の唇を自分の唇で強引にも塞いだ伊達殿。

「んぅ、ぅうう・・・」

私の恥ずかしさなんてお構いなしで、私を担ぐ長曾我部殿に。
もう口の中に差し入れてきた伊達殿。

二人が格好いいなんてわかりきってる。
でも・・・この状況私は幸せなんでしょうか。


誰か鬼退治してください・・・。


無駄なことを祈ることぐらいしか私の残された道はなかった。
しかし、ニヤリと笑う二人の顔に不覚にもどきりとしてしまった。
悔しいのか恥ずかしいのか、複雑な思いが入り混じった。



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東西が結局常識知らず・・・という感じになってしまいました;
もう東西常識ない上に少々破廉恥でしたね。
いろいろごめんなさい!

水心様キリリクありがとうございました!

気に入りませんでしたら変えろの一言で書き直します









  


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