彼と彼と彼

本日は待ちに待った土曜日。
別に学校が嫌いだとかそういうわけではないのだけれど、今日は違う。


最近テレビで放映された見たかった映画を見損なった私。

レンタルでそうお金はかからないけれど、カード作ってなかったから作るとしたらお金がかかる。
でもよく店先にカード作るのが無料の日だっていうのぼりが立っているからできるなら無料の日にしたい。
でも映画は見たい、みたいな。

たまたま移動教室で隣の席に座っていた元親にそんな愚痴をこぼしたのだけれど。
元親がその映画持っているという。
見たい!、そう思ったけれどさすがに貸してというのはおこがましいかと思って何も言わなかった矢先、元親からの一言。

『休みに俺の家くるか?』

そう私に言ってくれたのだった。



それから数日。
やっとこの日を迎えた。


「お邪魔しまーす」
「あー、家散らかってるが気にしないでくれ」
「そんなっ、ただでさえ映画が見れるってだけで嬉しいのに」


家に入るとさっそくテレビのある居間に通され、元親はお茶を用意しに行った。
今日は元親以外はみんな出かけているようで静かだ。

「あれ、これ元親…?」


ふと部屋の周りを見れば、いくつか見られる家族写真。
弟いるんだとか、弟元親にそっくりだとか、家族みんな美形だとか…何気ないことを考えては少し笑いが溢れた。


その時だった。
どこかからか会話が聴こえた。


『……あいつが……じゃねえの…』
『いや……元親だって……だろ』
『……はっはっ……』
『いいから……っ!』


さっきは家族みんな出かけてると思ったけれどいたんだろうか。
それならお邪魔してます、ぐらいの挨拶はしなきゃいけない。
そう思って台所の方まで来てみたんだけれど。


見えたのは三人の元親。


「え、元親が三人…?」


一人は私を居間に残した元親。
もう一人は上半身はほとんど裸で上にちょっと服を羽織っただけな元親。
もう一人はどこかの海賊のような、王子様のような服の元親。


いや、兄弟だ!

一瞬頭でそう考えたけれどさっき家族写真でみんな見てきたばかりだ。
兄弟みんな似ていると言っても、今私の目の前にいる三人は似過ぎている。
というか、あとの二人の元親は格好がおかしすぎる。


「あー、もうアンタらが騒ぐから見つかっちまったじゃねえの」
「まあまあ元親、見つかちまったことは仕方がねえこった!嬢ちゃん、名は何ていう?」
「そうだぜ、男がんな顔すんな。
 ちなみに嬢ちゃん、この元親とどういう関係だい?」


半裸元親に尋ねられ、どういった顔をすればいいのかわからないままに名前と友達だということを答えた。
そう言えば隣にいる海賊元親と顔を合わせてにやにやと笑ったのが見えた。


「もう二人共うるせえよ!!
 ほら茶いれたから向こう行こうぜ」
「う、うん」


元親に背中を押されて居間まで戻ってきたのはいいけれどよく見れば後ろに二人もついてきており、広いソファに4人で座る結果となった。


「何で二人がついてきてんだ!」
「だってそりゃ元親の好きな―ふんふぁあ」
「そりゃ言っちまったらおもしろくねえだろうが…ま、俺が代弁すると嬢ちゃんがかわいいからこの元親が下心で手出すかもしれねえしな」
「ふんっ!息詰まるだろうが!
 …それに俺たち名乗ってもなかったしな。俺は長曾我部元親」


苦笑し、そして、私の頭は一時停止した。

今聞いた名前は私の知ってる名前。
そして私の隣にいる長曾我部元親と同じ名前。


「ちなみに俺も長曾我部元親な!」
「悪いなこいつらが…両方共、言っちまえば俺だ」
「え?」


隣でふうとため息を吐いた元親に深いことは聞けまいと悟る。
いや、すんごい気になるけどもっ…。


「よし、なんか元親ふくれてるから名前こっち来いよ」
「え、ひゃあっ!」


半裸元親に腕を引かれ、バランスを崩し、自然とその胸に飛び込む形となった。
すると目の前にはもちろん上半身裸。
手を胸板につけてしまい直に肌のぬくもりが伝わってしまい、恥ずかしくなったところで元親に引き剥がされた。


「名前にセクハラしてんじゃねえよ!」
「嫉妬か?」
「嫉妬に決まってんだろうが!」
『ほおー』
「え?」


二人に怒ってるかと思えばよく見てみれば元親の顔がほんのり赤くなったのがわかった。


「だけどなあと一言足んねえな。
 名前…」


今度は海賊元親が私の手を引っ張って抱き寄せた。
服を着ているから安心だと思ったけれど、この状態、所謂抱きしめられた状態に気づき今度は力づくでも抜け出してやろうとしたけれど無理だった。


「そう離れようとすんなって、んな俺じゃ不服か?」
「え、ちょっ」
「なんなら俺がお前さんの相手してやろうか?」


半裸元親が抱きしめられている私の顎を取り、私の耳元で…
それはもう大変色っぽい声出して言ってきた。
そんな状態で元親がわなわなと肩を震わせたのが見えた。

あれ、元親こういう状況でいっつもからかう側だったのに珍しい。
そんな呑気に考えられるのも今この時だけ。


数秒後、悪ふざけした元親二人に何故か私まで正座して元親からの説教を受けるのだった。





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アイ様、遅くなってごめんなさい(><;)
しかも複数元親初めてでテンション上がって文章たらたら長くなってしまい読みにくい仕様になってしまいました…
ですが少しでも楽しんでいただけましたら幸いです!!
いらぬ話ですが今回ヒロインに海賊元親と呼ばせたのは第二衣装元親なのですが私にはあの元親が王子様にしか見えません
改めましてリクエストありがとうございました!!!!!






  


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