第四話

「長曾我部くん・・・ちょっと話があるんだけどいいかな?」
「お、おう」
昨日が昨日で何にも記憶がなかったもんだから、なんだかばつが悪い。
長曾我部君のほうもなんだかやりにくそうな顔をしてるし。


教室から少し離れた進路相談室。
そこで、長曾我部君に向き直った。

「昨日記憶なくてわかんないんだけど、私変なことしてたらごめんなさいっ!!」
「・・・へ、された覚えはねぇが?」
「でも、なんか昨日帰ってった時、なんか怒ってなかった?」
「怒ってねぇ、怒ってねぇ。
 ただ・・・俺のほうが変なことをー」
「え”ぇ”っ!?」

あまりにも予想外の言葉に私のほうが驚いてしまった。
「ご、ごめん、ちょっと驚いちゃった。
 それで、何したの?」
「唇が触れた・・・」
「ーっ!?」

え、もしかしてキスされたの?
っていうか、私ファーストキスまだだった。

「事故?」
「いや、違う」
「ごめんね・・・」

ま、私のほうも軽くショックは与えられてしまったけど。だって、もしかしたら免許剥奪だもん・・・。
でも、長曾我部君のほうが可哀想だろ、普通。
4つ離れた教師にー・・・その場を考えてしまうだけで私の顔は熱くなってきた。

「違う!
 謝んな・・・俺がしたから・・・」
「そっか・・・私のほうは気にしないでね?」
「それは困るんだが」
「へ?」


「もういい、はっきり言う。
 生徒とか教師とか関係ねぇ!俺は斎藤名前が好きだ」
「え・・・」
「悪ぃ。今言われたって迷惑になるってわかってたし、相手にもされねぇこともわかってる。
 現に今、お前さんはそんな困ったような顔してるわけだしな・・・でも、誰にも譲れねぇんだ、お前さんだからこそ」

「でもね、私は先せー」
「今まだ言わねぇでくれ。
 勝手で悪ぃが、俺だってまだ覚悟できてなかったからな。一応考えてくれ、じゃ」

長曾我部君はそう言い残して先に進路相談室を去った。
なんでだろ・・・前告白された時ちゃんと断れたのに、今回・・・言葉を遮られようが遮られまいが関係なく・・・断れなかった。


危ないな、私は教師だよ。
それに、向こうは学生だから若気の至り。
前告白した子も結局断ってからはすぐ彼女ができて幸せそうにしてるじゃないの。本気の子なんている訳ない。



生徒に恋しちゃったら・・・・

それが最後だね。






  


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