元婚約者サービス

皆が高校三年生になって・・・とうとう最後の大会の日がやってきた。
やってきた、やってきたというのに、移動中電車の中緊張感は皆無だ。
もういろいろ心配になってくるよね、ほんと。
そりゃ去年ちゃっかり全国進めた訳だけどね、最後になると言うのに楽しそう。

最後になる、・・・その自分が思ったことで皆の卒業が近いんだと感じてしまいなんだか寂しいような気にもなってしまった。
自分で思っというてだけどなんだか此処に来てから時間があっという間だった様な気がする。

「どうした名前?」
「う、ううん、何でもないっ!
 ただやっぱり皆緊張感ないなーって思って・・・というか、元親。
 外ではちゃんと先生って言いなさい」

引率としてか応援としてか何故か来てる元親だけど。
とりあえず何故来てるかはわからないけれど、公に出してはいけない関係があるのでとりあえず名前呼びを注意してみるとなんだか不満そうな顔をした。

「わーったよ、だけどよ、まああいつらががちがちに緊張してるとこなんて見たくねえだろ?」
「そうだね、私は皆勝つって信じてるからもうどうにでもなれっていう感じだけどね」
「honeyに期待されちゃ勝たねえとな。
 なあhoney、そういや夏の王様ゲームは俺たち十分満足した訳ではないんだよな」
「そうそう、俺様たち”先生参加で優勝”って言ったけど先生に十分満足させてもらってもないんだよね〜」

声が増えたと思えば、そんなことを言い出した伊達君と猿飛君もといトラブルメーカー。
というか王様ゲームなんて思い出したくもないぞ。

「ということで勝ってきてやるから覚悟しとけよ!」
「用意は万全だから!というか、先生が断れないだろうけどねー!」

そんな不吉なことを言ってた訳だけど、とりあえず私は意味がわからなかったまま試合をする体育館に着いた。
とりあえず何もありませんようにと祈るだけだった。

そして試合が始まるとそこに何故か袴姿の元親。
部員でもないのに何でだ・・・そう思った瞬間に先輩に一枚の紙を見せられた。
そこには長曾我部元親と書かれた入部届。
いきなりの戸惑いと私に見せてくれなかったんだという複雑な気持ちが入り混じるが私には応援するしかなかった。

「元親ー!頑張れよ!!」

聞こえたのかどうかわからないけど・・・。
それでもきっと聞こえてると信じた。

まあ元親が並みの高校生よりは強いもので入部何日かとか知らないけど勝ててた。
試合が終わった後にこちらに笑顔を見せてくれ、こちらも軽く手を振っておいた。

そして、その後も皆が勝ってた訳だ。
そして、私があのトラブルメーカー二人に何かをされることが決まった訳だ。


**********


試合を終えた部員たちが着替えを終え、解散となった。
私は元親らを待ってた訳だけど・・・悪夢が始まろうとしていた。

「先生、とりあえず俺様たちかったからね、はいじゃーん!」

猿飛君が取り出したのは高校のセーラー服。
勿論コスプレ用とかじゃなくて正式のうちのセーラー服。

「ん?」

必死でしらばっくれようとはしようとするもののわかってくれない。
わかってくれるわけではないと思ってたけど。

「元親honeyに入部内緒にしてそれで勝って驚かせてやろうとしてたんだぜ?
 あの時の元親最高にcoolだったじゃねえか!」
「っ・・・そうだけど。
 でも、元親が私のそういう姿を見たいって訳じゃー・・・」
「お、俺はっ・・・」

目を瞬間に逸らし元親は黙りこくった。
そしてその反応に二人の頬はしっかりと緩んだ。

「じゃあ鬼の旦那も見たいようなので、それに先生の拒否権はないし。
 着替えてこようか!」
「ええ!?」

背を押され、トイレに閉じ込められた私は出ようにも出られなくなってしまい、覚悟を決めて着替えた。
出ると、やっぱりニヤニヤしている二人に赤面の元親。

「帰る・・・」

そう言うしかなくてとにかく電車に乗って皆最寄で降りたんだけど・・・いつの間にか夏祭りが始まっていたらしい。
祭りとか好きな元親が目キラキラさせていて帰りづらかった私は一言寄っていこうか、そう言ってお祭りを行こうとした訳だ。

その時だった。
小学生ぐらいの女の子が道路飛び出そうとしてるのが見えた。
しかも、車が普通に走行している訳で・・・何で信号ないんだよ・・・。

今のままだったら轢かれてもおかしくない状況だ・・・。

「危なっ」

女の子に飛びつくように向かい側の道路まで駆けた・・・もうほんとに跳んだって言った方が近いんだけど。
ぎりぎりのところで車とは接触しなかったらしい。

「お姉ちゃん、ありがとうございました」
「ううん、大丈夫よ。
 でも、ちゃんと右左見ないと駄目だからね」
「あの良かったらお名前をー・・・」
「名前!危ねえだろうが!!」

心配になったのかすぐにやってきた元親たち。
元親に至っては何とも言えない顔してるし。

「おい、擦りむいてんじゃねえかよ・・・とにかく行くぞ」
「ちょっ、元親っ」

女の子の方も心配だったけど怪我はしてないようだったから大丈夫かなと思ったので私はただ素直に元親に付いて行った。
まあ断れる理由も無い訳だしね。
水道まで着くと、擦りむいたところを洗い流された。
やっぱり傷口に水が滲みて痛く無い訳など無く痛かった。

「痛っ・・・うっ」
「ったくこれぐらい我慢しろよな、俺がどんだけ心配したか。
 お前さんが先走ってったと思ったら車は来出したしよ・・・」
「ごめん、心配掛けて。
 でも、あの時私が行かなかったら」
「そうだ、だからだ!
 だから何もできなかった俺自身を殴りたくて仕方ねえんだよ!」
「元親・・・」

そうだ、元親は私じゃなくてまず自分を責めようとする人だ。
自分でも慰めようと思ったのかはわからない。
でも、何故か自然に元親に手が伸びて、元親に抱きついた。

「名前?」
「元親は悪くない、それに私は元親から離れていかないからね」
「・・・名前、そうだな、俺だって離せねえからよ」

元親が手を私の方に回すと、ぎゅっと力が込められた。
端から見たら高校生カップルが抱き合ってるようにしか見えないだろう。
日頃はこうやって公の場じゃできないわけだから・・・今日ぐらいちょっとハメ外したっていいよね。
元親がキスしたって、今日は拒む理由がない。


この日、私たちは初めてこんな人通りの多い場所で堂々とキスをした。



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ということで、これは『年下のアイツへ』につながっていく訳ですねー。
そして最後にはもう元親以外の部員いないけどまあそれはおいといてってことで!!
そして、元親がセーラー服姿見たかったのは番外編の夢オチからの夢臨んだ結果ですねー。



    


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