第十九話

最近、また長曾我部君が真面目に学校へ来てくれ、剣道部も手伝ってくれと・・・何かと環境が元に戻った気がする。
そのこと自体はすごく嬉しい。

まあ、だからと言って私の記憶が戻ってくれることは無いんだけど。

時間だけが流れ、何時しか文化祭のシーズンが幕を開けた。



「誰か、実行委員やりてぇ奴はいるか?」

先輩の第一声で始まった、HR。

実行委員って文化祭のことらしい。
この学校に戻ってきて初めての文化祭。
きっと私は他の生徒よりわくわくしてるんだと自覚しながらも苦笑する。

でも、誰も手を上げない状況に少し先輩の呆れたような声が響く。

「誰もいねえのか?」

「・・・俺がやる」

そんな時だった。
一人の声が聞こえた。

長曾我部君・・・?

今までクラスを盛り上げたりしていたけど、こうやって表向きに立ってやろうとするところは私は初めて見た。
だから、なんだか嬉しくなってしまう。

「他にはいねぇよな、じゃあ長曾我部前に出ろ」
「お、おう」

先輩に言われ、そのまま前に出て司会をするよう、指示された長曾我部君。

「で、決めたらいいのか?」
「ああ、客が入って資金を上まうことができたら売り上げは自由に使ってもいいらしいからよく考えろよ。
 ・・・ま、簡単に言うと打ち上げだのがしたいなら客寄せできるものにしろってことだ」
「おう、わかった。
 で、だ。何か案ある奴はいるかー?」

「メイド喫茶をやるべきだ!」

何が来るかと思えば、メイド喫茶。
漫画とかでは定番になってるけど・・・ぶっちゃけどうなの?

『ええー』

思った通りの女子からの非難の声。

「なんでだよ、ここの女子はなかなかいいぜ?」

あれ、気づけば発案者は伊達君。
さっきの言葉で何人か・・・それも、過半数どころじゃなくて女子ほとんどが胸キュンしてるよ。
それでも、うちのクラスの女子が可愛いのは事実。
金髪美女のかすがちゃんを筆頭になかなかレベルが高いもんだよ。
・・・・・・・・・羨ましい。


「でも、男子レベル高いよ?
 だから、男子も着飾りたい」

御尤も。
っていうか、うちのクラス美男美女が何気に揃ってるよね。
何、この奇跡!?
正直今頃だけどびっくりだよ。

「で、それだったら何がいい?」
「男子が執事をすればいいんじゃないかなー」

あくまでも、このクラスはコスプレをさしたいってことかな、男女で。
自分が嫌なら、異性にさして金儲けって・・・。
結構計算してるもんだとやってることは正直汚くても感心してしまう。


「なら、男女でそれぞれ着飾ればいい、それならばもっと大きな儲けが期待できる」

おお、結構まとも・・・なのかな?、今までの意見をまとめた意見だ。
かすがちゃん、冷静だねー。

「そりゃいいが。衣装も用意しなきゃならねぇが・・・。
 そうだ、片倉先生・・・この学校って教師と生徒でも文化祭とか作り上げるのモットーだったよな?」
「そうだな」
「じゃあ衣装は大丈夫だ!
 で、何をコンセプトにするつもりだ、今から何でもいいから言っていけ。 
 斎藤先生、板書頼めるか?」
「あ、うん」

突然声を掛けられて対応が遅れるものの急いで黒板へ向かう。

で、書いたものはー
・主従
・執事
・メイド
・ツンデレ

・・・・・・・・・・誰だ、ツンデレを求めた奴は・・・。
そして、女子!男子にメイド服を着させるのかっ!!

ま、多数決で決まったのは主従喫茶。
なんか名前がすごいけど。

「で、今から役割分担するぞー・・・」



皆が団結しているところを見れて嬉しい。
今年の文化祭、無事に楽しめたらいいなー、と願うばかりであった。


そんなのんきに構えてたから私は思い出さなかった訳だ。
この学校の文化祭での、教師たちの屈辱をー・・・。









  


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