第六話

「俺と一緒に行かねぇか?」



元親さんは確かにそう言った。
私の聞き違いでなければ・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・ええ!?

一緒にって、花火大会?
誰とって元親さん?


「いやいやいやいや、御冗談をー」
「別に俺は冗談を言ってるつもりはねぇんだが?」
「え、本当ですか?」
「おう!」

・・・でも、行くのにお金がかかってしまう。
残念ながら私今懐が非常に寒い。

「でも、電車代とかないんですよ・・・」
「俺の車でいきゃあいい」
「高速代とか・・・」

勿論払えるお金は手持ちにない。
後払いと言っても元親さんに払わしてしまうのは・・・。
その時だった。


「さっきの無しだ!」

埒が明かない私に元親さんがそう言った。
・・・うんそうだよね。
お金ないのに行かすのもどうかと思うし、仕方がない。


「いやいや、そのまんまの意味じゃねぇから、んな暗い顔すんな!!」

私が非常に辛い顔をしていたのかのように元親さんは慌てた。
・・・いや、私暗い顔をしてるつもりは無かったんですけど、出ちゃったんですかね?

「言い方を変えるから・・・。
 今日、俺と一緒に行っちゃくれねぇか?」

つまり、元親さんのお願いっていう風になった。

「嬉しいですけど、いいんですか?」
「おう!
 といっても、お袋さんにはちゃんと言ってからじゃねぇと駄目だがな?
 ・・・っと、それに俺のお願いなんだ。
 お前さんは肯か否か答えればいい、な?」
「元親さん・・・
 お願いします!!
 私母さんに電話をしてきます!!」


元親さんを残して家にバックして電話を掛けた。
予想以上に早く繋げることもできたので許可を取った。

そして、急いで家を飛び出し元親さんの元へ駆けた。



「元親さん!母さんのお許し出ました!!」
「おう、そりゃあ良かった!
 じゃあ11時に家を出るからそれまで準備しといてくれ」

あれ、花火は夜なんじゃ・・・?

「せっかくだから高知を案内してやるぜ!
 ・・・と言っても、俺の知ってるところしか案内もできないんだがな」
「ありがとうございます」


元親さんはなんていい人なんだろう、そう実感しながら私はもう一度家へ入り、準備をし始めた。








  


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