恋するfifteen
15歳になった。
時の流れというものは不思議なもので一気に駆けて、私を15歳にした。
私としてはひとつでも大人に近づくので嬉しいけれど、時間をあまり感じられなかったのでその分成長してない気がして少し複雑な気分だった。
元親さんの扱いもぶっちゃけ変わってないし。
出会ってから正直扱い変わってないから・・・それはもう私の乙女心というものは日々ずたずたにされているのは言うまでもない。
でも、そんな私でもだ。
たまにはちょっとぐらい背伸びしたい。
誕生日の日ぐらい何処かに連れて行ってやると言う元親さんの言葉。
これは使う以外ない。
この日の為に私がずたずたにされた乙女心のリベンジの為に燃えていたのはわかりきったことだ。
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「名前、こうやって一緒に過ごすのは久々だな」
「うん・・・」
元親さんと思い出の道を辿っているのだけれど、言ってみれば前世を辿っているということだ。
思い出を辿りたいと言ったのは私だったけれど、ところどころで私が知らなかった過去が浮き出ていたりしたので切なかったりするのだ。
知らないことも受け止めてっていうのがスマートな反応なんだろうけどやっぱり私は子供みたいな反応しかできなかった。
「俺結局餓鬼の頃からまたここに戻ってきた・・・お前さんに会えるかとか、また嫁に貰えるかとかずっと考えてたんだよな」
でもその一言で元親さんも昔はおませだったんだなと安心する。
そうだよね、子供の時からこんなにアニキな性格だったらびっくりするもんね皆。
私は安心はしたのだけれど・・・それでも今日背伸びをしない気はない。
「私は元親の事ずっと夢だと思ってた。
だからこうやって・・・」
元親さんの頬に触れて、顔を近づけて自ら顔を近づけてキスを、キスを・・・私頑張れ、接吻ぐらいやらされた過去はある。
今頑張ろうとしているところだ。
元親さんもわかっているのか、微笑みながら待っている。
ここでしないと・・・!
そうは思ったけれどなかなか難しい。
ちゅっ
その時だった。
私が顔を近づけていたせいで、身長差があったため元からバランスは悪かったのだけれど。
とうとうバランスを崩して、その衝撃で唇が触れた。
「名前・・・」
「も、元親さんっ、わ、私」
「落ち着けって、な?」
私の中でパニックになっていたところを元親さんがいつものように頭を撫でて落ち着かせる。
「ありがとな」
「いえ、私が・・・背伸びしたかっただけですし」
「背伸び?」
「あ、えっと、今の無しで」
背伸びしたかったなんて言ってしまったら更に子供扱いされてしまう。
それを恐れて口を閉じたけれど、そういう時に限って元親さんは意地悪そうに笑う。
「へえ、俺に隠し事か」
「隠し事とかじゃないですっ!
ただの呟きですから、呟きサイトで良くある意味のない呟きです!」
「なら俺は俺がいいようにしか受け取らねえぜ、背伸びっていうのは」
背伸びをいいように受け取るなんて私には考え付かなかった。
その時だった。
元親さんが私を抱き寄せて、耳元で呟いた。
『誕生日迎えたっつうことは今までよりもっと触れてもいいんだよな?』
結果的には私が思っていた通りになったのだけれど。
それでも思っていたより現実は恥ずかしい状況で、私は小さく呟く答えるしかなかった。
「触れて、ください・・・」
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