第四十七話

元親さんに差し出された手を握り、下へ降りると親泰さん、そして一人の女の人がいた。

美人の中でも美人。
そんなことを考えさせられる人。

胸まである黒髪は一切の不自然さがなく、顔はかわいいというより綺麗だというのに可愛らしい服装が大変似合ってらっしゃる。
だというのにどこかからか大人の女性の色気というものが感じられる。


「将・・・」
「久しぶりね、元親」

固まってしまった元親さんに歩み寄る”将”と呼ばれた女性。
私は近寄ってくるとわかった瞬間にとっさに手を離してしまった。
何故だか離さないとって思ってしまった。

「久々だな、何しに来たんだ?」
「何って・・・信親の墓参りに決まってるじゃないの、今更ここをあなたの墓だなんて思ってないわ」
「そうか、まあそりゃそうだろうな」
「それでー」

その女性は私の方を向いた。

「この女の子は元親の新しい彼女さんなの?
 ここまで連れて来てるみたいだけど」
「違う!」
「ち、違います!
 別に連れて来ていただいたことに大して特に意味はないです・・・」

違う、とはっきりと言われたらまあ話を合わすしかない。
その前にまず違うんだから。

「そっか、私は将。
 あなたは?」
「私名前です」
「そっか名前ちゃんね、よし覚えた」

そう言って笑った将さんは本当に綺麗だった。
・・・と思ったけど一瞬笑顔が歪んだ。

「元親・・・今会ったばっかりなんだけど言いたかったことがあったの」
「今か?」
「ええ、私たちより戻さない?」


より戻さない・・・ということは二人は昔何かしらの関係があったんだろう。
元親さんはというと苦々しく笑っていた。
これは私がいるからなのか、それともいきなりの申し出に困って答えにくいのか。
そんな間にいる私はどうしようもなかった。

「名前ちゃん、行くぞ」

そう言って私を連れだしたのは親泰さんだった。
親泰さんはあの二人を残したまま、来た道を過ぎ私を海まで連れて行った。





  


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