第四十一話

ベッドで泣いてしまってからしばらくして私は寝てしまったらしい。
疲れてたぶんもあるのかな、そう思うと相変わらず私は子供だなと思う。
大人に早くなりたいのに自分が子供だと感じるたびに少し憂鬱になってしまう。
大人で子供に戻りたいとか言う人がいるけどその人は本当に贅沢だと思う。

もう少し早く生まれたら努力していい女になって元親さんにアピールなんかもできたかもしれない。
それでも・・・今更仕方ないとはわかってるから全てが仕方ない。


「もうすぐで12時か」

時間を見てみると既に11:58。
私どんだけ寝てたんだろう・・・。
とりあえずお風呂入ろうと下に降りてみると、明かりも何もついていなかった。
どうやら両親はもう寝たらしい。
まあ休日だから仕方がないか。

お風呂に入る前に外を見たら元親さんの家の明かりがついているのが見えた。
まだ雑賀先生も鶴姫ちゃんもいるのかな・・・?
明日は学校も休みだし。

庭まで出て塀の隙間から覗いてみるとちょうど縁側に元親さんと雑賀先生が並んでるのが見えた。
二人ともずっとお酒を飲んでいる様子だけど酔ってないように見える。

『それでそろそろはっきりしたらどうだ?』
『ああ?』
『婚期だろ、今一応』
『そりゃ言ったらアンタもだろうが』

どうやら二人とも歳の自覚からか結婚についての話をしているらしい。
二人とも若いと思うけどね、私は。

『名前が好きだろ』
『な、何いってやがるっ。
 あいつはまだ14だ、手出したら犯罪だろうが』
『ふんっ、どの口で言うんだ。
 お前がそんなこと本気で言ってると私が思ってると思うか?』

・・・・・・ん、何故に私?
というか元親さんが否定しないと私舞い上がっちゃうと思うんだけど。

『好きなんだろ?』
『・・・おいおい、アンタは自分の生徒がどうなってもいいのかよ』
『私は生徒の幸せを祈ってるだけだ』
『一回言ったけどな・・・名前に俺は好きな奴なら手出すって、誰でも』


”俺は好きな奴なら関係なく手出すからな”
私に言った言葉。
その言葉で私の気持ちは確かに大きくなった。
でも、それは意味があって私に言ったとしたら・・・・・・これ以上考えたら私がどうにかなりそうだった。

『好きなら好きだと言えばいいだろう』
『いいからんな人のこと口出しすんなよ。
 口出しすんなら先に結婚してから言えよ』

さんざん言われたので元親さんも不満が溜まってしまったらしい。
その気持ちもわかるけど。
それでも、私に対しての気持ちを全然言ってないということは私の気持ちは一方通行だということなんだろう。
わかってるけど、わかってるけど・・・さっきのこともあってまた泣きそうになった。

どうせ、私は元親さんにしたら隣の家の子供でしかないんだ。

『名前に手は出せねえよ』


ふと聞こえたその元親さんの言葉にそれ以上聞けなくなった。
元親さんの好意は私にとっては拒否でしかなかった。
むしゃくしゃした私は家を抜け出して、寒空の下頭を冷やしにとにかく走り続けた。




  


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