第三十八話

「元親さん、ご注文の品です」
「何か凄く見られてるがどうした?」
「え、あ、すいません・・・。
 クラスの子が元親さん格好良いって言ってて」
「そりゃ面白い冗談だ、はっはっは」

ただ今絶賛ガン見されてる。
その原因は本当に簡単なものだった。
私が元親さん好きだとばれたからだ。




「それで名前ちゃん、元親さん好きなの?」
「っ?!」
『図星だ!』




とまあ、そんなノリで。
私もなんで素直に反応したんだろうと思うけどね。
でも、ばれてしまったので今更仕方ない。

「すいません、皆思春期なんです、わかってあげてください」
「その反応からすると、名前ちゃんは違うのか?」
「私も元親さん格好いいと思ってますよ。
 というか、あの子たちは元親さんをよく知らないから格好いいだけじゃなくてアニキ肌で性格も良くてとか、人望があってとか外見だけじゃない格好よさとか知らないから恐れ多くないんですよ」
「恐れ多いってな・・・。
 それだと距離があるのか、俺との間に?」
「そういう訳じゃないんです!
 私元親さん大好きですし!拒まれたら凄く泣けると思いますし!
 距離とか、そういうのは・・・・・・」
「悪い悪い、言ってみただけだ」

私の必死な対応に笑い出した元親さん。
笑う気持ちは私もわからんでもないけどさ。
ここ以外に吹き出した笑い声も聞こえたけど、意外なことに雑賀先生だった。

「元親さん、そうやって私をからかうんでしたら私だって大人になってから仕返しだってしますよ?」
「そりゃ楽しみだな、ま、別に今たっぷり返してくれたっていいんだけどな」
「今じゃ仕返しの仕方が浮かびませんよ。
 っていうか、仕返しも嘘ですけどね、人には・・・お世話になってる人なら尚更仕返ししないもんですからね」

笑ってみせるとそりゃ残念だと言って笑った元親さん。
何が残念だとか知らないけど、私が仕返しなんてしないのは当たり前だ。
もし冗談で終わらなくて話もできなくなったら嫌だから・・・当たり前だろう。


「ではごゆっくりお楽しみください」

私は軽くお辞儀をしてその場を去った。
その間にも雑賀先生の吹き出した音が聴こえたのは別の話。




  


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