第三十六話

教室に入ると皆のテンションの高さが肌で感じられた。
そりゃお祭りだもんね、準備の時点で凄く盛り上がった。
本番で盛り上がらないわけがない。

「売上一位目指すぞー!」
『おー!』
「勝利を雑賀先生に捧げるんだー!」
『おー!』
「あわよくば格好いいお客を彼氏にしようぜー!」
『おー!!』
「・・・っ!?」

皆凄くいい笑顔でやる気出したよ、みたいな顔してるけど最後のにはさすがに私驚いて口から何も出なかった。
私たちまだ中学生だというのに・・・。
女子校な分、ちょっと物足りないっていう思いが強くなるのかな。
私としては共学も別に特別良かったっていうところもないけどね。


「おお、用意はできてるのか」
『先生、おはようございます!!』
「おはよう。
 そういや石谷はここの文化祭は初めてだったな?」
「あ、はい! 
 今から凄く楽しみですよ」
「もしかして名前ちゃん、イケメンなお兄さんとか呼んだー?」

ちょっとふざけた声が飛んできたけど。
冗談だとわかっているけど一瞬元親さんが思い浮かんで・・・本当は来てほしかったりしたなと少し寂しくなってしまった。

「イケメンなお兄さんなんて呼べるならとっくに呼んでるよー」
「そうだねっ、私たち必死で呼び込みするしかないね。
 クリスマスはもう目の前だ!皆頑張ろう!!」
『おー!!』

クリスマスか・・・。
私としては今彼氏が欲しいとか思いはしない。
だから、ぶっちゃけ皆のノリには苦笑交じりで付いて行った。

「石谷、元親は呼ばなかったのか?」
「せっかくの休日ですから、体休めないと次の週に響いたら申し訳ないので」
「ふっ、お前はほんとそう言う奴だな。
 たまには我儘だって言っていいだろうに」
「私が一方的にお世話になってますからね」
「まああいつだったら言わなくても来そうな気がするけどな」
「どんだけ私得ですか・・・」

雑賀先生が冗談を言うのはあまり聞かないので驚きが混じってついつい苦笑してしまった。
さっきから苦笑しすぎだなとか自分で思う。
それでも、私はいつか元親さん離れしなくちゃならないからいいんだ・・・そう思って開き直ろうとはするけど。
現実は難しもんだ。
惚れた弱みかなんだかは知らないけど、ぶっちゃけ寂しいね。


「名前!もう時間だから最後皆で円陣組むからおいで!!」
「あ、うん!
 じゃあ、雑賀先生・・・」

軽くお辞儀して皆の方へ戻った。
肩を組み、叫んだら少しすっきりしたような気がした。




  


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