第三十五話

10月も完全に過ぎて11月に入った。
そして、今日学校の文化祭だった。

初めてだからというのが大きいと思うけど、凄く楽しみだった。
他の学校の文化祭が楽しみだというのと同じで初めてここで体験するわけだから。
それにここは中高合同の為規模が大きい。
楽しみだけで、憂鬱な気分なのど一切なかった。


「名前さーん、今日が初めてですよね」
「鶴姫ちゃんっ、もう楽しみで昨日夜あんまり寝れなかったんだよ」
「あらあら。
 それで今日は海賊さん来るんですか?」
「元親さんは来ないよ」

結局あの日に約束してから会う機会もなく朝とかの挨拶以外で話した事は無かった。
文化祭に来てくださいとか言える訳もなく、今に至ってるし。

「名前さん・・・」
「違うっ、別に私後悔とかもないから!
 それに文化祭とかでいちいち呼ぶのも迷惑でしょ、元親さんは社会人な訳だし」

文化祭は文化の日である今日行われる。
休日な訳だから社会人が来れないわけでもない、現に私の両親が来ている訳だし。
でも、疲れだって溜まってるのに隣人の為にわざわざ来る人なんていないだろう。

「そうですか。
 それで名前さんのクラスは何をするんですか?」
「中学だからまだ凄いものはできないから定番の喫茶店だよ。
 まあそれでも気合入れて喫茶店っていうより茶店になってるんだけど、着物着るしね。
 着物と言っても作ったやつで丈が短くなってるんだけど」

今持っている着物をちらりと見せると鶴姫ちゃんは可愛いと嬉しそうにしていた。
きっと鶴姫ちゃん来たら凄く可愛いんだろうなと思うけど、私は似合わないともうわかっているので少し複雑なんだけど。
デザインがデザインでまさかのミニスカ丈だよ・・・。

「茶店・・・いいですね!
 私も時間があれば寄らせてもらいます・・・占い同好会も私にもう少し休みをくださればいいんですけどね」

鶴姫ちゃんの占いは校内で凄く有名だ。
それもいい意味で。
だから、忙しくなることは目に見えている。
無理じいなんてできる訳がなかった。

「無理しなくていいからね?
 でも頑張って!!」
「ありがとうございます・・・あっ、そうだ名前さん。
 今日きっといいことが起こりますよ、では!」
「へ・・・?」


聞き返した時にはもう鶴姫ちゃんはいなかった。
でも、言葉はしっかり聞こえていた訳だからそれが嘘だとしても占いで有名な鶴姫ちゃんに言われたわけだから嬉しかった。

いいこと起こるって、何かはわからないけど起こると信じて。
それまではしっかりクラスに貢献しようと私は簡易着物に着替え始めようと教室へ向かった。





  


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