第二十九話
教室から連れ出された先、連れて行かれたのは占い同好会と書かれた部屋だった。
「鶴姫ちゃん?」
「とうとう毛利さんにも会ってしまわれましたか。
名前さん、少し物語をお話しますね」
そう言った鶴姫ちゃんは目を閉じて話し出した。
戦国乱世、とあるところにもうとってもラブラブなカップルさんがいらっしゃいました。
その二人は結婚していました。
子供を8人も産み、周りからも羨ましいぐらいに仲が良かったんですね。
でも人は死にます。
「片方が死んでしまったの?」
いえ、まだ死にません。
死んでしまう前に・・・いろいろあるんですね。
愛し合ってますから次の世でも会いたいからとか言ってました。
それでも時は戦国です。
地位が高ければ高いほど側室のようなものをとられます。
それでその男性はとられました。
奥さんはそれでもその方を愛していましたから何も言わずにいました。
そして死に際、やはりまた次の世でも会いたいと願われました。
その言われた方もその時になっていろんなことを後悔されました、側室のことも。
それでも終わったことも不安になったんですね。
その方はまた愛したい、それでもまた愛してくれるかわからないと・・・願ったんです、次の世では好きなら向こうからのアプローチがわかるように、と。
だからですか、わかりませんが。
その方は記憶を持ったまま生まれ、その方の愛する方の持つ記憶はとてもじゃありませんが明確なものではありませんでした。
「鶴姫ちゃん・・・」
「名前さん、そんな話を信じられますか?」
「鶴姫ちゃんは嘘をついたわけじゃないんでしょ、私は信じる」
「前世は次の世に通じると言われています。
だからもしかしたら名前さんと名前さんが好きな海賊さー、元親さんが通じていたかもしれません。
もしそんな話があったとして名前さん、再び気持ちを変えぬと言い切れますか?
選び抜けますか?」
鶴姫ちゃんの目は真剣だった。
恋愛相談でここまで重い話となるとは思わなかったけど私の為を思ってだろう。
「でもね、元親さんと11歳も離れてるんだよ・・・私なんか相手にされないよ」
「名前さん、弱気になっては駄目です!
まずあの海賊さんに名前さんは勿体無いんです!!」
もう元親さんが海賊さん呼びなっていて何かあったのかなと不思議になるけど、今はそういうことを考えてるどころじゃなかった。
「私頑張ってもいいかな?」
「私は名前さんの幸せを祈っていますから。
どーんと幸せになっちゃいましょ☆」
「そうだね、私頑張る!」
たとえ、鶴姫ちゃんの話のように元親さんの前に恋愛感情が持つ女性が現れたとしても私は頑張る。
頑張るって決めたんだから私頑張る。
別に夢が前世がどうとかはもう気にしない。
大事なのは今だから。
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