第二十七話

学校は始まったと言えどもすぐに土日が来て休みになった。
なので好奇心からで元親さんに毛利元就を知っているかどうかを聞きに行った。

家の玄関まで行った、その時だった。

肩まであるかないかの茶色い髪、そしてすらりとした体型。
眼鏡を掛けていたが眼鏡を外すとまさに元就の顔・・・。

「元就様・・・?」
「誰だっ・・・・・・名前か?」

そうだけど、何でこの人私の名前を知ってるんだ。
偶然に夢の中の人物が出てきたと言っても何で向こうまで私の名前を知ってるんだ・・・。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

沈黙が続いた後だった。
元就と名乗る人がインターホンを押した後だったのか元親さんが出てきた。

「奴さんからくるとはな・・・って名前ちゃん、どうした?」
「長曾我部、貴様こんな年端もいかない幼女に手を出していたか」
「まだ出してねえよ!
 だいたいこの子14だ、出しちまったら犯罪だろうが!
 だいたいアンタは何用だよ・・・名前ちゃん悪いがこいつ人見知りとかじゃなくてもう人間嫌いな奴だから今日はー」
「名前とやら、今日は暇か?」
「はい、暇ですけど」

元就と名乗る人は元親さんの家の門を開いた。

「汚いところだが上がっていけ」
「・・・おい、此処俺の家だ!」

元親さんの突っ込みを完全に無視した元就と名乗る人はすたすたと家まで入っていった。
私も元親さんにもう上がっちまえと言われ、あとを追うように入っていった。



//////////



元親さんが上げた部屋に上がるとクーラーが入れてあって涼しかった。
更に麦茶が出され、もう何も言うことなしの状態だった。
ただ今元親さんは元就と名乗る人にお菓子を買いに出しに生かされ絶賛元就と名乗る人と私は二人きりだ。

「して名前といったか?」
「はい」
「姓は何と言う?」
「石谷です。
 ・・・それで元就さんでよろしいんでしょうか?」
「ああ、我が名は毛利元就だ」

何か初対面なのに初対面じゃないっぽいのが気まずい。
私何でわかっちゃったんだろうね、夢で。


「失礼ですが、何で私の名前を知ってるんですか?」
「それはそっくりそのまま返せれるのではないか?」
「返されたらそうですね・・・言ってみるなら夢に出てきました」
「ふっ、それは面白いことだな」

鼻で笑った元就さん。
何か美人な顔に鼻で笑うっていう仕草が凄く様になっているのはどうしてだろうね。

「それで元就さんはどうして?」
「やはり長曾我部絡みとなっておるのか・・・。
 我はそうだな、ノリだ」
「ノリっ!?」

そんな真顔でこの人は冗談を言うのか?
それでも美人なのが羨ましかったんだけど。

「戦国の世の夢を見たことはあるか?」
「え、あ、はい、ありますけど」
「それが前世だと考えてみろ」
「・・・え?」

あの夢が私の前世と考えるなら、私は前世で元親の嫁になる。
でも、その前世と仮定した夢がこうやって今の世につながってると言うなら

「だったら、私は・・・」

「ただいま!
 あー、やっぱり涼しいな・・・ってあれ、名前ちゃんどうした、んな難しい顔して?」
「元親さん・・・」
「名前、今のは忘れよ。
 どちらにせよ、夢に囚われる奴をこやつは好かん」

元就さんはそう言って元親さんを指さした。
・・・・・え?
とりあえず私が元親さんを好きだと思われている訳だよね。
普通の好きとかじゃなくて恋愛の方で。

「え、名前ちゃん、俺のことー・・・」
「元就さんはいきなり何を言ってるんですか、元親さんに失礼ですから!」
「長曾我部、貴様は黙れ」
「相変わらずひでえな、おい」

いつも通りな感じがする二人の会話に何だか懐かしさを感じてしまった。
前世だとか言って私が何かを言うと引かれてしまうだろう。
だから今こうやって毎日楽しく過ごせればいいんだ。

それに元親さんとは今でも11歳差。
年齢差は縮まらない、どうやっても。
なら前世のようにだとか夢を見ていたくない。
きっといづれは元親さんだって私以外の女の人と結婚してしまう。
現実を受け入れないと駄目なんだ。

だから夢を逃げ場にするのは別の話だけど。
今は今で現実を楽しんでいたい。






  


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