第二十五話

「名前ちゃんが自分から来てくれるなんて珍しいな」
「そうですね、やっぱりおかしいですよね・・・」
「いやいや、そういう訳じゃねえんだぞ?」

結局私は家にあげさせてもらい、いつかの縁側でさっき自分の家の庭で涼をとっていたように涼をとっている。

「一人身だからな。
 こうやって誰かが来てくれるって嬉しいんだよ、な?」
「そうですか・・・」
「それで聞きてえことでもあったんじゃねえの?」
「そうですね、御見通しでしたか」

私のテンションの低さから感じとってのか、それ以外の理由からかわからないけど元親さんが私の気持ちを汲み取ってくれた。
私が聞きたいこと・・・まあ大したことでもないんだけど。

「元親さん、雑賀先生とは知り合いだったんですね」
「まあ馴染みがある奴だとかだけどな、別に男女間の関係とかんなもんはなかったからな!な!」
「そこらへんは私は別にいいんですけど、もしかして鶴姫ちゃんともお知り合いで?」

鶴姫、と言葉を聞いてからか元親さんの眉間がピクッと動いた気がした。

「まさか、何かあったのか?」
「いえ、今日いろいろ助けてくれただけです。
 けどもしかして元親さんと何かある人なのかなと?」

今日の雑賀先生の私から元親さんの話。
だから鶴姫ちゃんも”私だから”と言った理由に元親さんが関係あるのかなとなんとなく思ってしまった。

「鶴の字は・・・知り合いは知り合いだが。
 まさかあの学校にいたとはな」
「やっぱり知り合いなんですね。
 本題なんですが元親さんは・・・・・・」

”元親さんは元親様ですか?”

私は何を考えたのかそう言おうとしてしまった。
それでも理性によって口を閉じた。

「俺は?」
「すいません、やっぱり今の無しです」
「そうか。
 なあ俺からひとつ言っていいか?」

少し残念そうにした元親さんは私の頭を一回撫でた。

「俺は名前ちゃんが本当だっていうならどんなことでも信じてやるし、味方にでも何でも回ってやる。
 だからよ、そうやって何でも自分の気持ち隠そうとすんなよ、な?」
「元親さん・・・」

元親さんの言葉がぐっときた。
それでも、私はさっき考えた質問をそのままする勇気はなかった。
だから・・・せめて遠まわしに・・・・・・。



「元親さんは転生とか来世とかそんな言葉を信じますか?」
「信じてる。
 違う世で愛した女との約束が今の世だって信じてる・・・って、笑ってもいいぞ」
「笑う訳ないですよ、その言葉で私自身ちょっと嬉しくなったりしてますから。
 それに私の見方になってくださる方を笑うなんてできませんよ」


私にとって元親が前世愛した人とかはわからない。
それでも今私は元親さんに気にあるのかもしれない。
元親にそっくりな元親さんだからか・・・。
元親さんは元親と同じ人か・・・。
そんなことはわからない。

それでもいつでも私に優しくしてくれる元親さんは私の14歳の乙女心をくすぐっていたのは確かだった。




  


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