第二十三話

『今日から新しい奴がこのクラスに来た、皆仲良くするように』
『はーい』

教室の外で待たされると雑賀先生の前振り、
そして女子校らしく女子の声が聞こえてきた。

『じゃあ入ってこい』

その雑賀先生の声で緊張したまま私はドアを開いた。
突き刺さる視線に軽く恐怖をおびえるが、微笑む雑賀先生のいる方を真直ぐ見てなんとか教卓のところに並んだ。

「何か挨拶してやってくれ」

そう言った雑賀先生は私の後ろで私の名前を書いていた。
その間も刺さる視線になんとかしないといけないなと思い、軽くわからないように深呼吸して口を開いた。

「岐阜からきました、石谷名前です。
 わからないところとかあるのでいろいろ教えていただけたら嬉しいですっ。
 お願いします!」

ありきたりな挨拶になってしまったけどこれでも私の心臓はバクバクだ。
必死に笑顔笑顔と頭の中で唱え、固まりそうな顔の筋肉を必死で緩めた。
そのおかげか、皆笑顔で拍手してくれてる。

「じゃあ石谷は後ろの開いてる席に座ってくれ」
「はい」

雑賀先生に指された席に座り、私は隣の子に軽く挨拶をした。
よろしくね、そう何気ない一言が私にとっては凄く嬉しくて人生ってわからないもんだなと思ってしまった。

その後は雑賀先生による今後の行事予定などのことについてを説明された。
そしてそれで一応その時間は終わった訳で。
次の休み時間には私の席に同級生の子たちが集まった。

『名前って呼んでもいいかな?』
『趣味何〜?』
『何処住んでるの〜?』
『何部入るの〜?』

等々あのテレビとかでよく見る光景は本当だったのだと感じさせられた。
それでも人見知りな私がこんだけ人と話せる機会ができたのだから頑張ろうと思った。
意外と私自身人と喋れるようになっておりこれは元親さんのおかげかなと今は遠くにいる元親さんに感謝した。
これから少しずつでもいい、自分変えて行こう、そうやって心の中で誓った。

  


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