第二十二話

長かったような短かったような、そんな夏休みを終えた私には新たなるものが待ち受けていた。
義務教育が課せられている私たち日本国民のために設けられた施設・・・
所謂学校だ。
私はまだ14歳、それはもう義務教育まっさ中だ。

「行ってきまーす」
「行ってらっしゃい!」

私はセーラー服を着ている。
あの憧れのセーラーだ。
新品の制服を着た私はまだ暑い外に足を出した。
・・・暑い。
それはもうあたりまえだが新しい環境に行くことは行くけど暑さは暑さだ。
どきどきとかそんな気持ちはあるけどあっついんだよ。

「あれ、名前ちゃん今日から学校か?」

呼び止められた声に振り返ってみるとスーツ姿の元親さんが見えた。
どうやら新聞をとろうとしていたらしい。

「おはようございます、私今日から新学期です」
「その制服じゃ、あの女子校か?」
「あのお城の近くのですよ」
「へえ、そうか。
 すっげえ似合ってんぜ、行ってらっしゃい」
「あ、あ、い、行ってきます!」

まさか朝からそんなお世辞でも褒められるとは思わなくて更に熱くなった体温を吹き飛ばしたい、そんな思いを全力で込めてその場を走り去った。
後ろから聴こえてきた元親さんの笑いが聴こえたけどそんなものはもう気にしない。
夏休みのことを思い出すだけでもう結構恥ずかしい。
元親さんだから仕方ないか、
そう開き直り私は学校への道を歩いた。


「わあ、やっぱりお城が近い」

すぐ近くにお城があると有名な学校に着くと、やっぱり近いなと感じさせられる。
こんなとこ凄いなと思って立ち尽くしてたら同じ学校の人だと思われる人に声を掛けられた。

「やっぱりあの城気になっちゃいますよねっ」
「あ、はい」
「それはそうとあなたは転校生さんですか?」
「あ、はい、転校生なんです」
「そうですか、私鶴姫というものですっ☆
 よろしくお願いしますね」
「私石谷名前です。
 お、お願いしますっ」

私に声を掛けてくれた鶴姫ちゃんという女の子。
頭はボブで目がくりくりしてて凄く可愛い。
それに人見知りな私に話しかけて来てくれてなんていい子なんだろうと感心した。
それから一緒に職員室行きましょうよと言ってくれ、職員室まで連れて行ってくれた。

「失礼しまーす」
「おはようございます、転校してきた石谷です」
「ああ、石谷か」

そう言って近づいてきた茶髪の女の先生。
近づいてくるにつれ凄く美人だとわかり内心焦ってくる。

「私が担任の雑賀孫市だ、よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
「ああ、姫が連れて来てくれたのか・・・助かった」
「孫市姉さまの為ならこんなこといくらでもやってのけますよ☆
 それに名前さんでしたし」

私だから・・・?
不思議になってポカーンとしてしまうが鶴姫ちゃんの方は別に普通のことを言ったまでですよと言う風。

「へ?」
「姫は占い同好会だからなこんな奴なんだ、気にするな。
 じゃあ石谷、教室へ行くか」
「はいっ」


こうして私は雑賀先生に連れられて二年生の教室までいった。


  


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