第十五話
家の前まで着くとああ、終わったんだなという実感が更に来る。
祭りは好きだけど、この終わって、帰る人だかり見て、家に帰って・・・というのの中にある寂しさは何とも言えない。
切なくなってきてしまう。
「元親さん、今日は本当にありがとうございました。
いけないと思っていたので本当に嬉しかったです」
「喜んでもらえてこっちも良かった、良かった。
・・・そういや、親御さんはまだ帰ってきてねえのか?」
家の電気が全くついてないのが危ないと思ったらしい。
そういや、一日出張だということは元親さんには言ってなかったけ。
「両親は一日出張なんで今日は帰ってこないんです、ではこれで失礼しますね」
荷物を受け取り、家に戻ろうとしたけど思うように前に進めなかった。
腕を元親さんに掴まれてたからだ。
「元親さん?」
「んな、若い女子が一人で夜を過ごすなんて危ねえこと極まりねえ!
名前、今日は俺の家で寝ろ!泊まりに来い!!」
「そ、そんな悪いですよー、それに慣れてますから大丈夫ですって」
「いや、俺あ納得できねえな。いいな、わかったな?」
悪いと言ってもどうにも聞いてくれそうにはない。
どうしよ・・・。
今日だってお世話になってるばかりで更にこの上お泊りだ。
「悪いとか考えてんなら泊まりに来てくれ。
来ねえなら逆に毒になりやがる・・・」
「でも、お世話になりっぱなしですよ?」
「俺だってこの前夕飯世話になってんだ、だから夕飯食べに来てくれ、泊まるのもついでにだ」
ここで断るべきなんだろうけど。
残念ながら私にはここで断れる術はわからない。
「じゃあ今日一日いいですか?」
「ああ、どんと来い!
別に取って喰いやしねえんだからなっ、安心しろ」
「じゃあお風呂に入ってから伺わせてもらってもいいですか?」
「俺も風呂に入ってるから、出てこなかったら鍵は開いてるから入ってくれ」
家に戻り、一度ベットに倒れこんだ。
最後まで元親さんといたけど一場面思いだすだけで恥ずかしさがよみがえる。
その上、お泊り・・・。
向こうにそんな気がないのは百も承知だけど・・・・・・・恥ずかしいに決まってるじゃん。
私だって恋愛とかそういうのは一切知らないんだけど、一応思春期まっただ中なんだ。
「ああ、困ったなー・・・」
一人でもがいている私だった。
この胸の鼓動がばれてしまわないように願うだけだった。
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