ひとつの言葉(元親先生)

「ほら今やったとこ」


付き合っているとはいえ、名前とは生徒と教師の関係。

今日は勉強目的で俺の持ってる化学準備室まで来たんだが。
相変わらず真面目な名前に下心は一切ないもんだからほっとするような、悲しいような。


「うーん、さっき納得はしたんだけど自分でやってたら全然わかんなーい」
「ああ?わかんねえだ?」
「はい…」


勉強する姿勢はそりゃいいんだが。
まだ頭が追いついていないのか、問題ひとつの前に項垂れる名前。


「…ったく仕方ねえな。こうなったらとことんできるまで付き合ってやる」
「本当?」
「ああ、勿論よ」


名前のためとなったらな、そう言おうとしたのに。
俺の台詞を遮ったのは校内放送。


『長曾我部先生、長曾我部先生。至急職員室まで来てください』


いきなりの呼び出しにさらに名前が項垂れる。


「今日会議無いって言ったってのに…指導か?
 悪いな、ちっと出るわ。参考書見ながらでもいいから俺が帰ってくるまで頑張ってみ」
「えー」
「『えー』じゃない、でもできたらちゃんとご褒美やるから」
「…わかりました」


ご褒美といってもなかなか気分が乗らなさそうな名前。
だが、そのまま諦める奴でもないだろう。
そう勝手に信じ、頭をわしわし撫でて準備室を後にした。



**********



しばらくして…それもだいぶ。あれこれ一時間ぐらいか。
戻ってみれば頭を突っ伏しながら窓の外の方を見ていた。


「あー…悪かったって。いきなりだったんだぜ。本当。」
「………」


だが、返事はない。

…拗ねちまったか。
俺がお前さんから離れるのを望む訳なんてないのに。

ひとつため息をつきながら、名前の前に立つ。


「ほらこっち向け。いいか―…ってあれ、寝てる」


聴こえてきたのはスースーという寝息。
すんげえ気持ちよさそうだ。
何か言いたくなるものの、名前が拗ねてるよりは何倍もいいやと思っちまう。

……それで、こっちもできてるじゃねえか。
用意していた問題も解くことができたらしく、寝顔が満足そうなのにも頷ける。
きっとこいつなりにかなり頑張ったんだろう。



「だがな、そんな無防備にされたらその内俺ももたなくなるっての、覚えてろ」


寝ている名前軽くデコピンをすると小さな呻き声が聴こえる。
それさえも、俺をその気にさせることは可能なのに。




『先生が手出してくれないから…私女としてちゃんと見られてるかって心配で……』


以前そんなことを聞かれたことがあったか。


今までもこれからもきっと俺にはお前さんだけ。
だから大事にしたい。

そう言って安心させたい思いがあるが、それをいうのは恥ずかしい。
それに、こんなに無防備にされてたら言うのも言えなくなる。




「大好きだぜ」


だが、これだけは言える。



ならご褒美は目覚めのキスか。



耳元で囁きながらそう決めた。




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過去かいた奴を入れているお菓子の箱を整理なうです
これは大好きな鳥さんの声を聞きながらのやつですね、わかる方にはわかるかと…!
どういうのかは覚えていませんがこんな感じじゃったんじゃとか思います
どうだったでしょうか…

改めまして少し前元親先生ネタを書きたかった私でした
(長編で先生ネタ多かったので短編で…)






  


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