赤い生命線(恋人)
「ふう…」
この世界に来てから一年足らず。言いかえれば元親と出会って一年足らず。
違う世界から来た私も、元親さんへの恋心も受け止められて幸せいっぱいだった。
なのに口からはどうしてかため息が止まらない。座りながら遠い目をしてしまう。
「どうした、ため息なんかついて」
「元親さんっ!いつの間に!?」
気づけば後ろから腕を元親さんにまかれいていた。
「で、どうしたんだ?」
「何もないですっ、何も…」
理由はわかってる。だけど、言えなかった。本当に理由がつまらなさすぎて。
私の手相。
電撃結婚をして、早死。
もう一度元親さんの方を見て苦笑する。
既に結婚の取り決めをしており、ここまできたら早死にも可能性はなくはないということなんだけれども。
「俺は名前の旦那になる男だぜ?そりゃ妻を幸せにする義務がある」
「はい、もうそれは嬉しい限りで…」
「な?だから早く言え」
「いえいえ。やっぱりすごくつまらないことで―…ふぁっ……………元親さん?」
言葉を濁していれば急に元親さんが耳に息を吹きかけてきた。
弱いと知っているくせに、いや、弱いと知っているからなのだろう。むっとしてみるが、私が怒ってても怖くないのか表情は何も変わらない。
「本当耳弱いな…それで。素直に言うか?それとも、焦らすか?」
「言います、言います!私の生命線が短いだけなんです!」
結局耳だけは死守するぞと理由を素直に白状すれば、そんなことかとお腹を抱えて笑いだした。
何もそこまで笑わなくたっていいのに…。
「安心しろ、俺がお前さんを守ってやるから。たとえ命かけても守ってやる」
そんな元親さんの男前な台詞に私の顔は熱くなる。
「…私の命は元親さんのものです。
…………その、だから守ってくれるならずっと傍にいさせてくださいね?」
「んな、当たり前のこと言うなって。たとえ名前が泣いたって暴れたって絶対離さねえよ」
元親さんは照れてしまったのか、顔を後ろにひいて腕の力をぐっと込めた。
愛しさが増した私は元親さんの方にもたれかかる。
するとまた元親さんの声が届く。
「名前…愛してる」
態と私が弱い耳元で、たっぷりと吐息を混じらせながら。
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数年前親貞(元親の弟)で書いたネタですね
耳ぐらいは女性みんな弱い、こしょばく感じると信じてる奴です笑
こしょばがりっていろいろ損ですよね…やられたらやり返す、倍返しだ!の精神でやっても相手こしょばくないんですよね…(´・_・`)
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