121225(政宗)

とうとう師走に入り、私の兄貴の国の土佐も寒くなった頃。
兄貴の元を離れ、私は奥州にいた。


「名前、ほんとアンタ可愛いな!」
「ま、政宗様っ!?」


先日土佐に来た元親の兄貴の顔見知りである殿方。
名を伊達政宗様という。
何故か年を越す数日前に来いとのことで来たのだけれど・・・今抱きつかれ、私は身動きがとれない状態となっている。

「あのー、政宗様?
 私苦しいのですが」
「照れちまって可愛いなhoneyは」
「はにぃ・・・?」
「じゃあ試しに俺のことをdarlingって呼んでみろ。
 それができたら離してやってもいいぜ」

今この苦しい状態から解放されるのならば、と。
舌足らずな言葉で政宗様の言う”だーりん”との言葉を言ってみた。

「Oh-!」
「っ!」

すぐに後悔したけれど。
離すとか言っておきながら力さらに込められたし。

「・・・何もないなら帰りたいのですが」
「Stop!ちょっ、ちょっと待て!
 今日はChristmasなんだぜ」
「くりすます?」
「ああ、甘いもんは好きか?」
「好きです」

好き―、そう言った瞬間にはもう既に手を引かれており、連れて行かれた先は政宗様の自室だった。
よく知らない殿方の部屋で二人きりなんて、とてもじゃないが兄貴には言えない。
絶対はしたないとか言って怒られる。
もしもバレてしまったらどうしようと体は震えていたけれど、どこからか匂う甘い香りによって止んだ。


「今夜は二人で過ごしたかったんだ・・・Merry Christmas!」
「こ、これはどういう?」
「Ah-、知らなかったか?
 南蛮じゃ救世主の誕生を祝う日なんだがここにあるcakeってもんや七面鳥を焼いたもんを喰うんだ。
 それで元親にアンタは甘いもんが好きだって聞いたのを思い出してな」
「そんな、わざわざ私のために?」
「Of course」

珍しい形をした南蛮の菓子を政宗様によって口に入れられれば甘味が口いっぱいにひろがた。
果実やこんぺいとうなどとは違う甘さ。


「とってもおいしいです!」
「だろ?
 ・・・アンタの口元についてんのがcream、言ってみればこれが甘さのもとだ」
「え・・・へ?」

口についてると言われ、手をそこに当ててみると確かに柔らかい感触。
今拭くものがないので仕方ないと手のひらで拭おうとすれば、生暖かい感触を感じた。


「っ、ま、ま、政宗様あああ!!」
「Hum?」
「か、かのようなは、破廉恥なっ」
「いいじゃねえか、名前と俺の仲だ」
「ただの私の兄貴の知り合いの殿方でしょう!」
「時間の問題だ、なんたってその内嫁にもらうんだからな・・・たく、cream付けすぎだぜ、狙ってんのか」
「――――!」


黙ってなと言っているような政宗様の視線に捉えられ、口元についたくりいむとやらを全て舐め取られた。
舐め取られ、既に息が荒くなった私に微笑んだ政宗様の顔はとても綺麗で見惚れてしまった。


「名前、好きだ」
「んっ」

外は雪が降るほどの寒さだというのにもかかわらず、政宗様の口吸いによって体中が熱くなる。


ごめんなさい、兄貴。


おとしとやかでいろと常に言い続けた兄貴に罪悪感を感じたけれど、たまらず私は政宗様の首に手を回した。




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宣言したのは24日の晩までにはということでしたけれど、日超えちゃいましたね;
というわけで政宗様でした
いやあ、今回元親妹設定なんですが、実は東西アニキ兄妹シリーズを書きたいとか思ってたりします←
というわけで(´∇`)<Merry☆Christmasです




  


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