彼女卒業(大学4年の彼氏な元親)

久々のデートだと思ってはりきってしまえば、夜にはぐったりしている元親。


只今浜辺で二人並んで座っているんだけど。
この時間私にとってはすごく嬉しい…だけど、こうして私のせいで無理させてるのかなと思うと申し訳ない。

元親は大学4年。
今は卒業研究だとか引き継ぎだとかいろんな物に追われる大変な生活を送っているらしい。

対する私は同い年だと言えども、もう社会人の身。
大学生の苦労を経験していない上、結構安定した生活を送ってる。



「元親…大丈夫?」
「悪い、だけど久々に名前と一緒にいれるのが嬉しくてな。
 もうちっと一緒にいてえ」
「私も同じ気持ちだけど、でも元親の体調が」
「大丈夫だ。ただの疲れだし、それにやられるようなやわな体じゃねえ」


元親の卒業もそう遠くはないから、今はちょっと甘えてもいい…よね?

改めて元親に嬉しいと言われたら、私自身も嬉しさを自覚してしまうもので。
何年の付き合いだとか関係なく普通に照れてしまう。


「なあ名前」
「んー?」
「俺さ、今こんなで忙しい状態だけど名前の顔見たら気持ちがすんげえ楽になんだ」
「それは嬉しい話だね」
「でもな、働いたら今以上に忙しくなるだろうし大変だと思うわけよ」
「うん」


一体何の会話なんだろう、少しそう思いながらも相槌を続ける。
だけどこれからの話をされて少しだけ無意識のうちに体が力んでいたことに気づいた。


「だから働き出したら…」


その言葉を聞いて、別れたくない別れたくない別れたくないとひたすら自分の中で繰り返した。


「毎日名前の顔が見たい」
「へ…」
「朝目覚めてお前さんの顔見て、仕事行くのを見送ってもらって、帰ったら『おかえり』って言って欲しい」


別れ話じゃない!
そうほっとしても話は続き、さらに元親が何を言いたいのかわからず混乱してひとつの結論にたどり着いた。


「名前ずっと俺の傍にいて欲しい、ずっと前にお前さんの恋心をもらったから今度はお前さんのこれからの人生をもらいたい」
「それって」
「俺との結婚考えてくれねえか」
「け、結婚する!」


一瞬元親があっけにとられた顔をしたけれど、すぐにいつもの表情に戻った。


「即答だったが信じて…いいんだよな?」
「元親さー、私が昔キスとかできるようになるの待つって言ってくれたの覚えてる?」


もう何年も前の話。
付き合って。
元親にキスされて。
私はただ恥ずかしがって何もできなくて。
何もできなかったのは今までずっと。


「元親好きだよ、私元親のお嫁さんになりたい」


手を元親の顔に伸ばし、距離を縮めて唇を自ら重ねた。
ずっとずっと、彼女である私を待ってくれた元親。


「これで…彼女から卒業できる」
「ありがとな、名前」


熱くなった体に。
嬉しそうに笑った元親に。
数秒後渡された指輪に。


これからはもっと近い場所で生きるんだ。

そう思った。





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この話が書きたかったんです、ただ大学生元親×社会人ヒロインが書きたかったんです
『架空恋愛』全てはこの話の過去の話だったりします、そしてこの話書きたいがために書いた作品でした笑
プロポーズされたいです(^ω^)










  


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