また君に恋をする(元彼な元親)
再開したのは本当に偶然で。
「長曾我部です」
仕事で取引先の会社へ先輩に連れられて言ってみればそこの部長と並んで私たちを出迎えたのが元親で。
顔を合わせた途端に思い出が蘇る。
高校時代好きで好きで仕方がなかった。
いつ何時も元親のことを考えていたのは事実。
それでも、別れたのは大学に入ってから。
地元から二人とも出てしまえばあとは自然消滅なんてよくある話で、結局そのパターンに当てはまってしまったのだ。
「本日はよろしくお願いいたします」
「いえ、こちらこそ」
笑顔で乗り切ろう、そうたった今決めたのに愛想で交わした挨拶にすでに一瞬でも泣きそうになった自分がいた。
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「名前ちゃん、今日はもう直帰許可出たけど飲みに行っちゃう?」
「え、あ・・・すいません、今日はちょっとこれから先の孤独に不安を感じたのでペットショップに行こうかと」
「何それ、どういう―」
「名前!」
不思議そうに尋ねる先輩に元親の名前は伏せながらでも説明しようかと、そう思った時だった。
聞き覚えのある声が近くで響いた。
「元親・・・?」
「あ、名前の先輩の・・・どうもです。
名前今から用事あるか?用事ないから一緒に飯でもって思ったんだが」
「え、えっと、ごめん、今日先輩と飲みに」
「大丈夫、名前ちゃん今日直帰許可出てるし、この子ペットショップに行くとか言ってらから」
「先輩!」
言うことだけ言って空気を読んだのか、先輩はすぐに帰っていってしまった。
こういう時にどんな顔をすればいいのかわからないというのに・・・。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。じゃあ行こっか」
元親と数年ぶりに並んで歩く。
一人何意識してるんだろうと感じながらも、本当に胸の鼓動は抑えられなかった。
近くの居酒屋に着いて二人で並ぶと周りの喧騒に沈黙は破られた。
「高校出てからだから久々だな」
「本当、偶然で会えるとは思ってなかったよ。
元親変わんないね」
「そうか?
名前は綺麗になったな」
「っ!?」
思わず飲んでいたビールを吹いてしまいそうになった。
昔から確かに元親は褒めてくれることも多かった、だけどこうやって綺麗だとかいうのは意外でおかしいような、不思議なような。
「さては元親、そんなこと言うようになったってことは女を知ったね」
ふざけて言ってみると元親は苦笑する。
ああ、こんな顔見るなら無理にでも帰ればよかった。
今更になって後悔がこみ上げる。
「叶いそうにないの?」
「生憎だがずっと忘れられねえ女は鈍感でな、俺に叶いそうにないのとか聞いて来るってもんよ」
「え、それって」
「今も昔も俺にはお前さんだけだ・・・名前」
「嘘っ」
元親は私の頬に手を添えて唇を重ねた。
「もう一回好きになっちゃくれねえか?」
「ずっと好きだよ、馬鹿!」
こみ上げてきた涙を元親に拭われながらもう一度唇を重ねた。
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実は書きたかったネタです(`・ω・´)
でも書きたかったのは実は裏だったりしたんですが、書きたいので時間があったら書きます笑
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