今宵は君と過ごしたい(幼馴染な元親)
※腐女子の方にはおすすめできませんっ!!
逃げてくださいっ!!
今年もひとつふたつと大きな花が夜空に咲く。
そんな様子を私は一人でじっと見つめていた。
今までの花火は毎年元親と来ていた。
でも、今年は私が元親を避けて一人で来た。
”長曾我部元親と毛利元就がくっついた”
そんな噂が学校中に広まった。もちろん、二人とも男の子だから私はさすがに嘘だろうと思ってた。
でも、先日私は目を疑った。
元親と毛利君が二人きりで教室で話していたのだ。別に普通のことだと思ったけど噂を思い出して、距離がよく見てみると近いじゃんっ!とかそんなこんなで噂は本当だったんだと実感してしまった。
「来年も・・・ずっと一緒に見に来ような」
去年の今頃元親は私にそう言った。
でも、今年は毛利君も来るんだろうと勝手に予想して今年は元親からの誘いを断った。それと一緒に、なんだか会わす顔も無くなって来て避けるようになった。
別に恋愛は個人の自由だと思うし、別にBLに対して偏見を持ってるわけでもない。
なのに、元親と顔を会わせることができなかった。
『本日最後の花火となります』
そんなアナウンスが私の耳に入ってきた。
いつもここできれいだね、とか言い合ってたのに今年は私が意地を張ったせいで隣に何かを言う人もいなくて。
それが悲しくて私は帰路に立とうと思った。
ここにいても寂しいだけだ・・・。
いつも二人で見るのは会場から少し離れた河原だった。私と元親だけの特等席だった。
そこは静かだったけど嫌なものではなく、むしろ大好きな場所だった。元親と二人で見た花火が一番好きだった。
なのに、もう一緒に見れることは無いんだね・・・。
私は何を思ったのかあの河原に行ってみようと思った。
もう振り切るために。
元親の幸せを願えるように・・・。
「おいっ、何すんだよ」
「黙るが良い」
河原へ付くなり聞き覚えのある声がしていた。
・・・元親と毛利君だ。
何やら仲良さ気に喋って花火を見ているし。
「元親の・・・元親の、馬鹿ぁ!!」
いつの間にか涙を流しながら私は元親にむかって叫んでいた。
「名前?
お前さんなんでここにいんだ?って、泣いてんじゃねぇかよ」
元親は私の声にびくっと大きな背中を震わせ、私の姿を見つけたとたんにこちらに来ようとする。
やばっ、こっちに来ちゃう・・・。
私は結果的に反射的に逃げた。
それでも、元親が追いかけてきて腕を掴まれた。
「おい、待てよ・・・」
「なんで待たないといけないの、離して。
元親は毛利君と一緒に花火を見に来たんじゃない、私には関係ない」
「何でお前さんは俺の誘い断ったんだよ」
「断ったんじゃない、元親にチャンスをあげたんだよ?」
「じゃぁ何で泣いてんだ?」
「・・・」
何で泣いてるんだろう?
淋しかったから?
・・・違う。
「元親の隣は・・・ここは元親と私だけのとこだって・・・私が我侭なだけよ・・・」
なんて私は我侭なんだろう。
いつからこんな子になっちゃたんだろう。
「俺のこと嫌いか?」
「ううん、毛利君のところ戻って」
「・・・もしかしてあの噂が原因か?」
あの噂・・・私が元親を避けるようになったひとつの原因。
私はこくりと首を縦に振った。
「嘘に決まってんだろうが」
「え?」
「何かおかしいと思ったら誤解を招いていたのか・・・」
声のほうに振り返ってみるとそこに毛利君がいた。どうやら追いかけてきたらしい。
『俺は男なんぞに興味はねぇ!/我は男は好かん!』
「・・・私の勘違い?」
「そうだよ・・・ったく、あんなの嘘に決まってんだろうが」
「でも、前二人でいたし」
「お前さんがそんな風に鈍いからだよ」
「へ、私が?」
どういうこと?
元親の言っている意味が分からず、首を傾げる。
「恥ずかしながらこの十数年間お前さんと花火を見てきたが関係は幼馴染のままだよな?」
「うん、何が恥ずかしいんだかわからないけど」
「で、お前さんどんな男が好きかって聞いたら毛利がいいって言ったな?」
「うん、きれいだしかわいいし。一家に一人欲しいくらいだよね」
「おい、名字どういうことだっ」
なにか毛利君は言っていたけど構わず元親と私は話を進める。
「だからだよっ!」
「何がだよっ!?どういう意味だよっ!?」
「ったく、だから俺はずっとお前さんが好きで好きでしかたねぇんだって!
好きな女を自分以外の野郎に取られてたまるかってんだよっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
も、元親が私を好きぃ?
「Realy?」
「おう」
元親の頬が微妙に赤く染まってるし、毛利君がやっと言ったかみたいな感じの雰囲気を醸し出してるし、分かってなかったの私だけなの?
「元親・・・好きってその私がいいように捉えてもいいの?」
「お、おう。女として好きってことよ」
「元親・・・私元親のこと・・・好きかもしれないよ・・・・・・」
「好きかもって・・・」
苦笑交じりに元親がそう言った瞬間私は毛利君に背中をとんっと押されて元親の胸に飛び込んだ。
「え、毛利君?」
「貴様の安心できるところはどこぞ」
「え・・・」
元親の胸の中はあったかくて、安心ができる。
私は元親の腰に手を廻し、抱きついた。
「名前?」
「好きかも、じゃないよ。
大好きなんだよ、元親」
私は笑ったつもりだったのに何故か涙が溢れ出ていて元親は私の涙を舐め取った。
そのまま唇は私のそれを塞いだ。
「好きだ、名前、好きだ」
「そ、そんなに恥ずかしいこと何回も言わないでよぅ・・・」
好きだと何回も言う元親に恥ずかしくて頬を染める私を元親は力一杯ぎゅっと私を抱きしめた。
そして、元親は優しく微笑んでもう一度私に口付けを落とした。
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腐女子の方で見てしまった方自己責任でお願いします;;
っていうか、元就が普通にいるところで何してんだとか、瀬戸内何気に結局なんで仲良いんだよ、とかつっこみどころ満載となっておりましてすいません;
花火ネタは季節外れなんですけど宴のOP見て書きたくなってしまいまして・・・。
ヒロインがありえないくらいに鈍感設定というところでお願いします。
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