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外気に触れて、立ち上がった乳首。
ほんのり赤く色づく肌。
気づけば、手が動いていた。
まだ燐は服を全部脱いでいないというのに、雪男の手はその体へと伸ばされていた。
わずかに残る理性で、まず頬に触れた。
自分よりもわずかに熱いのは、羞恥からか。
優しく撫でさすれば、気持ち良さそうに燐の瞳が細められ、雪男を喜ばせる。
頬から首筋、肩へと滑り降りていく雪男の手。
肌をくすぐる刺激に燐の体に緊張が走る。
心地がいいのか、燐がこぼすのはあえかな吐息で。

「あっ……んぐ……ふぅあ」

肩を滑り降りる雪男の手が、乳首を捉えた。
優しく撫でさすれば、気持ち良さそうな喘ぎを燐はこぼす。
時折、きゅっとつまみあげれば、瞬時に体が強張り、息も詰まる。

「あぁ、んぐっ」

ひときわ大きな喘ぎが燐の喉を突いて出て、それが雪男の体温を上昇させた。

「気持ちいい?」
雪男の問いかけに、
「あぁっ、いい。気持ちいい!」
熱に浮かされたように燐が返した。
だけど、
ふいに我に返った燐が、
「やっ。ゆきお、おれだけやだよぉ」
と泣き出した。

これもアルコールの作用か。
燐は幼子のようにブンブンと首を横に振る。
「兄さん、僕も気持ちいいよ。だから、兄さんも気持ちよくなっていいんだよ」
だから、と雪男は続けた。
「気持ちよくなって、僕のことも気持ちよくして」
「あ、ゆきお。おれ……」
何を言おうとしたのか、あえて聞かないまま雪男は、
「後ろ、慣らすからね」
と燐の後孔にローションを絡めた指を挿し入れる。
「んぐっ」
苦しげな吐息に、まだ指は動かさない。
気が紛れるようにその体のあちこちにキスを落とし。
そして、キスマークを刻んでいく。

燐の表情から苦悶の色が薄れたところで、ゆっくりと中に挿入した指で内壁の具合を確かめる。

きゅうきゅう中を締め上げる熱いそこに、くらりとめまいが雪男を襲った。
まだ駄目だと分かっていても、今すぐ入りたい。
そんな気持ちが表情に出ていたのか、燐がこちらを見て、いいぞと言う。
見透かされた気恥ずかしさと嬉しさで、複雑な気分を雪男は味わう。
だが、せっかくの誘いを拒絶などできなくて。

「痛かったら言って」
せめてそう声をかけ、たぎる己のそれをねじ込んでいく。
初めてのことで要領が掴めず、中々思うようにいかない。
痛いのだろう。
燐は顔を歪めて耐えている。
唇を噛み締め。
尖った犬歯が、唇を裂き、血が滲む。
赤に染まる唇、血の気の失せる面。

「痛いよね?ごめん」
問いかければ、
「……大丈夫だから」
燐は無理に笑顔を作ろうとする。
引きつった笑顔、だけどその気持ちは有り難く。

なるべく痛みを与えないように。
雪男は気を使う。
それくらいしかできないけれど。
ゆるゆる動いて、そこを慣らし、なじませていく。
同時に雪男は燐の萎えてたそこを刺激する。
その甲斐あってか、次第に顔に赤みが戻る。

「あっ、んぐ」
ほころんだ唇から、そんな喘ぎがこぼれたので、
「気持ちいい?」
雪男はなかば祈る気持ちで問いかけた。
「あ、ゆき……いいよ。気持ちいい」
返ってきたのはそんな言葉で。
感極まった雪男が、燐の中に己の熱を吐き出した。
「あぁっ、っん。あつ。出てる。ゆきおの出てるよぉ」
その刺激で燐も達した。

吐精の余韻に浸りながら、
「兄さん、兄さん。大好き。愛してる」
「おれもゆきおのこと、すきだ」
愛の言葉を交わしたこの夜の記憶は、二人にとって何にも代えがたいものとなったのだった。


end
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HP→やまびこ/こだま様

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