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出会った頃と変わらぬ笑顔を向けてくれる彼らとだって、一度は溝の出来た関係を、兄は諦めなかった。
怯えられ、拒絶されても、兄はまた元の仲間に戻れると信じて、諦めなかった。

「…兄さん」
「なんだ?」

諦めなければ、全てが上手くいく訳ではない。
でも、諦めなければ道を切り開くことは出来る。
そう教えてくれたのは、他ならぬ燐本人だ。

「誕生日、おめでとう」
「…おう!」

まだまだ兄には遠く及ばない。
その背中を越える日はまだ来ない。
でも、だからこそまだ自分にはもがく猶予が残されている。

「じゃあ、もっかい改めまして…」
「「「お誕生日おめでとう!燐、雪男!」」」
「さんきゅー!」
「ありがとうございます」

この今の幸せが、これからもずっと続けばいい。
その為に、もがいていこう。
もう、闇に怯えなくて済むように。


賑やかな笑い声は、いつまでも途切れることなく夜の闇に響き渡った───。


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HP→紅と青の交差点/相川狭哉様


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