シゲル×サトシ





それはとても幼い記憶だった様に思う。
やんちゃな君に振り回されて、木登りをして、僕が手を滑らせて誤って転落して。


  ごめんなさい!ごめんなさい!

  シゲル、シゲル!起きろお、シゲル!

  ごめんなさ…っわあああああん!


なんで君が謝るんだろう。君は悪くないだろ?泣かないでよ。悪いのは僕なんだから、君は笑っていてよ。


「…めんなさい」

声が鮮明に聞こえた気が した。

「ごめんなさい、ごめんなさい…シゲル、ごめん……お願いだから起きろよ…」

何を泣いているんだ、きみにそんな声は似合わないよ。ほら…起きてあげるから、泣かないでよ…サトシ……。

「………っう」
「っシゲル…?」
「なに、泣いてるの…サトシ。ほら、起きたよ?もう泣かないで」
「し、げ…る……っう、ふ…っうああ…!」
「え、ちょ…サトシ?」
「うああああんっシゲルっシゲルー!っひく、ううっうええ…!」

目を開いてサトシに話し掛ければ、サトシは先程よりも顔をくしゃくしゃにして泣き喚いた。
後に聞いた話によると、何時も通り僕らが一緒に居て、流れでロケット団の気球に追われ、サトシのムクバードのつつく攻撃で穴が空いて落ちて来た気球がサトシを下敷きにしようとしたので僕がサトシと押して変わりに下敷きになってしまったという事らしい。
打ち所が悪かったのか中々僕は目覚めなかったらしくサトシはその間つきっきりで看病してくれたのだそうだ。

「シゲル…」
「ん…?」
「お願い、だから…俺を庇って怪我をするのはやめて欲しい」
「なんで?」
「お前が怪我をするのは自分が怪我をするよりずっと、ずっと嫌だから。お前が…大事だから……」
「…サトシ。」

どうやら、この身体は僕一人のものではないらしい。
さて、次からは二人が無事になれる方法を模索しないといけないね。これは大変だと僕は小さく笑みを零した

end







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