ライバル×ヒビキ(学パロ)




普段居る実習棟の屋上ではなく、教室棟の屋上で一人コンクリートに背中を合わせて惰眠を貪っていては、鳴るチャイムの音に意識を浮上させる。とは言っても意識を起こしただけで目を開けたりはしていないが。
すると階段を登って、扉を横に引く音が聞こえて俺は其方側を見た。

「ああ、見つけた。何時もの場所に居ないから吃驚した」
「どこに居ようと俺の自由だろ」
「うん、そうだ。…はい、お弁当作って来たんだ。どうせソウル学食だろ?良ければ一緒に食べないか?」

人の良い笑みを浮かべて此方に来たソイツが小さな包みを出す。そういえばもう昼休みかと体を起こして欠伸を一つ。
俺の返事も待たない儘に隣に座って包みを開く。

「今日はちょっと頑張ったんだ」
「おいまだ食べるとは言ってな」
「食べないのか?」
「食べるけど」
「なんだそれ。」

それまで距離を置くような遠慮がちな喋りをしていたヒビキがこうして砕けたように喋り出したのはいつ頃からだったろう。
あの頃はただ約束だからという付き合いだったのに何時からこんなに親しい仲になったんだったか。「じゃーん。どうだ、春巻きに挑戦してみました!」
「よし取った」
「ちょ、二つ取るなよ!一個は僕の」
「………ん、生姜多くねえ?」
「っあああああああ!!」
「うっせえな」
「鬼畜!この鬼畜!」
「俺の為に作って来たんだから別にいいだろうが」
「オンリーユーな訳ないだろー!」

ぎゃいのぎゃいのとヒビキの声がする屋上は騒々しい。
それでも嫌じゃないと思ってしまうのはなんでだろう。
でも五月蝿い事には変わりないので取り敢えず俺は弁当の中のミートボールを箸で挟んでヒビキの口に押し込み、音を上げる口を塞いだ。

end







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