にゃんにゃんな日

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何をしようとしてるの?

山南さんは薬を高々と上げ斜めに倒そうとする...。



止めなきゃ!


声よりも行動の方が先だった。


唇に瓶の口が触れる寸前千鶴は無我夢中で止めようとしたせいで力任せに自分側へと腕を引き寄せ、びしゃりと畳が濡れる。


ころりと、転がる瓶に安堵するも...



私、薬を頭から被ってしまった!?


数秒の沈黙の中、忘れていた雨の音が自分の鼓動とシンクロでもしてるんじゃないかと疑うほど速く脈うっている。



先に我を取り戻したのは山南さんで大丈夫ですか、と耳元で心配するような声色...なのに私が感じたのは耳を擽られたような感覚で、


『きゃっ』


と、声を上げ山南さんを突き飛ばしていた。


私に突き飛ばされ違和感を覚えたのか手を伸ばしてくる。



『...ごめんなさい』


そう怯える私に山南さんが一歩近付く。



縮まる距離、自分の身体が異常である恐怖から自然に体が震える。


そんな様子を見ていた山南さんの顔がいつの間にか妖艶な事に気が付いた。



「怯える事はありません...貴女の体は少し動物に近付いただけかと」



意味ありげな笑みが見つめる先は私の...。



えっ、何これ?


『...尻尾!?』



私は訳が分からなくなり、取り敢えずその腰付近から繋がっているだろうその黒く長いそれを引っ張った。



すると、なんとも言えない刺激に腰が抜け崩れ落ちた。



息を乱す私の前に山南さんがしゃがみ込んだ。その目の奥を妖しく光らせて。



「やはり、それも貴女の一部ですか」


そう言って抱き締められる形に背中に手が回ると尻尾に手が触れ絡ませるように撫で付けてくる。



『ふっ、...っん..ぁ..ぅ』



思わず漏れそうになる声を歯を食い縛り耐え、震える腕で彼を退けようと暴れると、誤って軽く山南さんの頬を軽く掠り眼鏡を弾き飛ばしてしまった。




千鶴の攻撃から横を向いていた顔が再び私に合わせられた。



直ぐ様延びた腕に後頭部を固定し引き寄せられれば山南さんの唇が頬を擦り、耳元に声を落とした。



「貴女の聴覚は今最大限に引き出されている私の声良くきこえるでしょう?」



普通に聞こえるはずの声は、やはり私が動物に近付いているのだろう。


より鮮明で鼓膜を強く震わせ、そして官能的に脳裏に響くというより残る。



私は怖くなり懇親の力で振り切り山南さんの部屋を出る。


彼が追って来るんじゃないかと思い振り向くがその気はないらしい。



ひとまず、この濡れた体をどうにかしなければと頭から肩にかけてを手を滑らせる。



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