愛の天秤は180゚
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勿論、顔を紅くし目を反らす彼女が答えられる筈もなく自分でも分かるくらいに俺はきっとこの状況を楽しんでいる。
悪戯に唇を緩ませれば、濃い桃色が真っ赤に変わる。
「それならば、俺も遠慮はしないが...良いのだな」
伏せられた睫毛を震わせ首を縦に振ったのを確認した後、淡いピンクの唇にゆっくりと自分の唇を重ねた。
奥に引っ込む小さな舌を優しく引き寄せてくちゅりと音を立て角度を変え何度も愛おしむようについばみリップノイズを落とす。
「すまない...限界だ」
艶を帯びる深い色が長く乱れた前髪の隙間から除き、斎藤先輩のその視線に、掠れた甘い声に全体が性感帯のように熱くなる。
肌蹴た胸元に差し入れられた斎藤先輩の掌は膨らみを撫で上げると片方が背中へ周り留め具に手をかけた。
プツと胸の圧迫感が解放されると同時にゆっくりと壁を伝い横に崩れる身体。
身体を抱えられ床に倒された私の上では、あの真面目な斎藤先輩が色っぽい笑みを浮かべている。
『あっ、斎藤先輩...』
「よく見ると確かに綺麗だな...だが、この様な格好は校則違反...そう言えば罰を出さなければいけない。故に、千鶴にはこの様な事が二度と出来ないよう灸を据えたと土方先生に報告しておこう」
斎藤先輩は全くムードにそぐわない事を淡々と私を見下ろしながら喋っている。
けど、内容からして私は庇ってもらってる?...なんて考えてたら違ったらしい。
「勿論、俺は嘘の報告などしない...其れがどういう意味か分かっているな?」
つまり...私は灸を据えられる、という事。
『えっ、灸って...なんです、か?』
斎藤先輩の言い方が妙に気になって片言に言葉を発せば両頬を掌が包み上げ、互の鼻先が擦れるくらい近づいてくる。
「そう、怯えるな。好きな女子に酷いことをする訳がないだろ」
目尻を薄く色づかせ碧瞳が伏せられ、もうこれ以上言わせるなと白く滑らかな肌に紅く華を散りばめる。
ブラの外れた、小ぶりな胸の突起に斎藤先輩の唇が赤子のように吸い付きもう片方の色づく突起は指先で優しく弾いたりして遊ぶ。
『ふ...ァ、やッ...ッん、だッ...』
何もかもが初めての千鶴は必死に彼の腕の裾にしがみつき甘い声を抑えようと首を嫌々と振り駄々を捏ねる。
こんな事を、学校でしている俺もどうかしていると思うのに其れよりもどうかしてると思ったのは、甘い声を必死で抑えてる彼女をもっと困らせたいという加虐心が胸の内で騒つき疼いている事。
「特別に甘い灸を据えてやる。覚悟しておけ」
少し意地悪に目を細め、耳元でそう囁けばまた一段と羞恥の色を濃くする千鶴の顔。
堪らなくなった俺は、彼女を引き寄せきつく抱きしめ髪を撫でた。
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