小次郎 ぱしゃりと人だったものが赤い水溜まりの上におちた。 この人は誰なんだろう。こんなに屋敷のものを懐に隠して、火事場泥棒か何かだろうか。 周りを横目で見渡すと、この泥棒とおんなじように一閃されて倒れる武士だらけだ。そこかしこ真っ赤に上塗りされて、所々焼けて生臭くて焦げ臭くてたまらない。 自らの血溜まりの上に倒れるのってどんな気持ちだろう。死ぬってなんだろう。戦ってなんだろう。この戦、意味あったのかな。正直、勝てる見込みなんてはじめから無かったのに。 ぼんやり真正面に倒れている人を瞳に映す。 あの人はついこの間子供ができたと大喜びしていた武士。 そこでうずくまって動かない人は最近仕官してきたばかりの文官。 あそこの首が無くなっている人は嫁の貰い手が決まらないといつも愚痴ていた女中。 父上。自決した。 母上。自決した。 家臣達。もう動かない。 岩石城は僕だけを残して敵側の手に落ちた。 こんな何もかも失う戦になんの価値があったのだろう。 弱きものは奪われつくし、 奪うものも所詮、弱きものから奪わねば生きられぬ弱者に過ぎない。 負けたもの達も、城を制圧した彼らも、欲望に負けて盗みに来た泥棒達だって、結局はこの乱世に翻弄されて生かされてるだけ。 あられもない、醜すぎる。 こんな醜い世界で苦しみながら生きていくなんて、可哀想だ。 ああやっと分かったよ、僕がただ一人生き残った理由。 剣術を極める事を目標にして生きてたけど、それだけじゃ駄目なんだね。 この憐れな世界で苦しむ全ての人を救うために、 「誰だてめぇは!」 「まさか佐々木の生き残りか!」 もう苦しまずにすむように、一瞬で、 「やれ!逃がすなよ!」 「観念しな!」 綺麗に斬ってあげなきゃ。 「……くすっ、若様はもう死んだよ。とっくの昔にね」 「良かったね、もう苦しまずにすむよ……僕が綺麗に斬ってあげた」 この淀みきった世界を斬り裂く、一陣の風になって、 君を救ってあげる。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 戦ムソ4流浪演武イベントから妄想 豊前国人一揆のつもり。もっと掘り下げてくれないかなあこの辺 <<||>> |