ヘパイスとヘラ

「ヘラ」

薄暗い部屋の中に、うっすらと紫紺が見え隠れしている

どうしてこうなったかは覚えていないが、今一番しなくてはならないのは、この手枷を外す事だ


「ヘラ、寂しいんだ」

うっすらだった紫紺は、今ははっきりと視界にうつっている

ヘパイス

「……」

なんとも悲しげな瞳でオレを見つめ、動けないのを良い事に首筋に指を這わせる


そうしてほど近くに唇を寄せると、噛みつくように筋に歯を立ててきた

「ヘラ、一緒にいておくれ」

「…っく、」


この部屋は静かだ

静かで、閑散としている


聞こえてくるのは目の前で身体を弄る音と、それに堪えるくぐもった声だけ

一通り弄り終えたかと思いきや、また一から繰り返す


「ずっとこうしていよう?」

「…っは、いい加減にしろ、」

「僕はヘラと一緒にいたいんだ」

「っオレ、は…っう、ぐ、!」


答えを言わせない為か、ただの気まぐれか

急所をキツく握り込まれ言葉を失った

「ヘラも、僕とずっとこうしていたいんだよね?」

「……っ、そんな、の、一言も、…っう、!」


先程と同じ行為でオレを黙らせる

どうやらオレの答えは聞く気が無いようで、会話は全く成立しない

言葉でドッジボールをしているような気分だ

投げつけられてはぶつかり、投げつけられてはぶつかり、


非常に虚しく、悲しい事だと思う


悲しげな瞳をした紫紺は同じ動作を繰り返し、時折オレの名を呼んでまた痛めつけた

くるしい、


「もう嫌なんだ、ヘラが他の誰かと楽しそうに会話しているのも、
僕以外の誰かと練習しているのも、」

「その綺麗な瞳が、僕以外に向けられるのも」


狂っている、と思った

こいつはオレの自由を無くすつもりだ


「ヘラは僕の大切なヒトなんだ
他の誰にも渡したくない」

「僕以外と関わっては、綺麗な綺麗なヘラが穢れてしまうよ」


「っはぁ、うぅ、話を聞け、ヘパイス…!」

「だったらここでずっと、この僕とこうしていた方が、お前はずっとずっと幸せだ」

「そうだろう?僕の大事な…大事な大事なヘラ」

「炎、…!!」

「僕とずっと、繋がっていようね…」


「ーーー」


声にならない叫び声が閑散とした部屋に反響した


手枷が外れる事は、無かった


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友に捧げる乱文

ヤンデレ変態ヘパイスとただの被害者

前に書いたヘパヘラのバットエンドverみたくなった

R15のつもりで書いたけど出来てるかな、下手したらR18いっちゃう感じだけど←


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